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2023.05.03 23:40
2014.12.02 00:01
高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏(12月2日)
バリスタ大国・日本?知られざる世界 コーヒー豆生産から関与、農業活性化にも寄与
プレゼンで注意したのは英語の微妙な発音だ。かつて英国に1年留学した井崎氏だが、ネイティブの英語とは違う。そこで日本語も堪能なリカタ氏が、あいまいに聞こえる部分を指摘・修正していった。「明確に言葉が伝わらないと、大会の審査員は考えてしまう。プレゼン内容も英語のロジックとして洗い出し、徹底的にブラッシュアップしました」(丸山氏)
●世界一を獲得して変わったこと
4日間の大会を終えてバリスタ世界一に輝いてから約半年。井崎氏の評価は特に海外で高まった。大手焙煎メーカーの新人研修やイベントの講師、シンポジウムのパネラーとして招かれることが増えたという。
コーヒー豆を出品した産地・コスタリカも沸いた。コスタリカの若者も農業をやりたがらない風潮になっているが、20代のナヴァロ氏が栽培した豆が優勝したことで農業関係者も元気づき、同国の農業大臣から表彰も受けた。そうした社会的意義も大きかったのだ。
丸山珈琲の国内各店に井崎氏が出向いて実演する日もあり、当日の店の売り上げは倍増する。だが丸山氏は「当社全体でも通販の売り上げやカフェの来店客数は伸びていますが、あまり派手な宣伝手法は取りたくありません」と言う。世界王者になった直後の井崎氏にも、過度に浮かれないよう戒めてきた。
まだ20代半ばの井崎氏と業界歴20数年の丸山珈琲はコーヒー業界の注目株だが、歴史的には新参者だ。早くに栄光を手にした結果、慢心して凋落した事例は、ビジネス界に数多くある。それが同社の「勝って兜の緒を締めよ」の姿勢につながっているようだ。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト)
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