つまり、資本効率を重視する経営へと転換を図る宣言とみていいだろう。投じた資本を使ってどれだけ効率的に利益を出すかを示す「投下資本利益率(ROIC)」を各事業で導入し、事業を選別する財務的改革手法である。
●“脱エレクトロニクス”
ご存じのように、テレビ事業は14年7月、ソニービジュアルプロダクツに移管・分社化されているが、収益性が見込まれなければ他社との提携も視野に入るわけで、その行方が注目される。また、モバイル事業は14年9月、1800億円の減損損失計上が発表された。モバイル事業は、ゲーム、イメージングとともに「コア3事業」と位置づけられ、平井氏は「これからもモバイル事業は重要」と言ってきたが、もはや生き残りのためには投資の縮小もやむを得ない情勢だろう。
さらに、注目すべき点は「分社化」である。14年7月のテレビ事業分社化とパソコン事業「VAIO」の売却に続き、15年10月1日をめどに携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」やブルーレイ・ディスク録画再生機などを扱うビデオ&サウンド事業を分社する計画だ。また、センサーをはじめとするデバイスなど、全事業の分社も進める方針である。
つまり分社化は、赤字が続くエレクトロニクス分野の自立を促すと同時に、投資の減少をはっきりと示した。エレクトロニクス分野は、ソニーを悩ませ続けてきた経営悪化の元凶だ。分社化によって収支の悪化が顕在化すれば、事業の売却も辞さない構えとみていい。ここまで“脱エレクトロニクス”が明確化されたのは今回が初めてで、画期的な決断といえる。
ソニーの主力はエレキ部門と信じて疑わないOBにとってみれば、この“脱エレキ宣言”ともいうべき方向転換は、ソニーの独自色否定につながるだけに、断腸の思いで「第二次中期計画」の発表を聞いたのではないだろうか。
分社化の狙いについて、平井氏は、「経営方針説明会」の席上、次のように語った。
「厳しい環境の中で、いかに会社を伸ばすか、自立経営することによって、危機感をもってもらう。本社に頼らず、自分たちで考え、責任をもって経営指標のもとに責任を果たしてもらいたい。経営指標をもとに説明責任を果たしてもらうことで、分社する会社がより強くなってくれることを希望しています」
分社化すれば、経営のスピード化が図られるほか、コスト削減にも効果がある。ただし、分社化をとことん進めていけば、持ち株会社の形態に限りなく近づくことになる。今のソニーならば、それもありなのかもしれない。