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考えてみれば、「夢」ある企業の代表としてソニーが輝いていたのは、60~70年代である。多くの日本人が共同創業者の井深大氏と盛田昭夫氏が育てた「トランジスタラジオ」や「ウォークマン」などのAV製品に「夢」を託し、みんなで「感動」を共有してきた。OBやソニーとともに時代を歩いたシニアにとってみれば、まさしく「僕らのソニー」である。ノスタルジーにひたりたいのはよくわかる。
しかし、時代は変わった。韓国など新興国メーカーが台頭するなかで、エレクトロニクス事業の看板を下ろさざるを得なくなった今となっては、かつての「夢」や「感動」を追うのはしょせん無理がある。はっきりいって、「夢」や「感動」は、一昔、二昔前のソニーの企業像である。それは、もはや幻想でしかない。
現に今回、「成長牽引領域」に位置づけられたのは、デバイス、ゲーム、映画、音楽である。かつて「夢」を託し、「感動」を求めた、「夢」にあふれたエレクトロニクス商品群とは大きく様変わりしている。
ソニーは、大胆な事業戦略の転換によって生き残りを図るしかない。それは、「夢」や「感動」をもたらすソニーとは大きくかけ離れているかもしれないが、ソニーが復活を遂げるためには、やむを得ない選択ではないのではないだろうか。吉田氏が、いかなる次の一手を打つのか注目される。
(文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家)
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