ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 長谷工、営業と施工能力で勝ち組に  > 2ページ目
NEW

採算の悪いマンション建設で高収益?長谷工の営業と施工能力 不動産各社が秘かに日参

文=福井晋/フリーライター

 実際、大手・中堅のゼネコンが受注するのは、都心のタワーマンション、駅前・都市再開発とセットの大型マンションなど、うまみのある工事ばかりだ。そして、郊外のマンションなどは敬遠する。

 また、新築分譲マンションの販売価格は、基本的に立地周辺の「売値相場」に基づく土地価格と建設価格で決まるといわれている。不動産会社にとって、用地を仕入れた後の建設価格は「固定発注額」となる。

 したがって、建設を受注した後は工事途中で建設コストが上昇しても、不動産会社が上昇分を受注額に上乗せしてくれることはない。ゼネコンにとっては採算の悪い工事になり、工事中になんらかのトラブルが発生すれば赤字受注になるリスクもある。

 これも大手・中堅ゼネコンがマンション建設を敬遠する理由のようだ。「建設案件が断り切れないぐらいある今、わざわざマンションに手を出すゼネコンはいません」(同)というわけだ。

 つまり、不動産会社がマンションを建てたくても、今は建設工事の引き受け手がいない。それが、冒頭のマンション減少の一因にもなっている。

 そんな中、長谷工は「ゼネコン各社が『他の建設工事と比べて採算が悪い』と敬遠するマンション建設工事を、適正額で率先して受注する稀有な存在」(ゼネコン関係者)というわけだ。不動産会社が同社に日参するのも当然といえる。

 長谷工は、14年の首都圏と近畿圏の新築分譲マンション建設工事で共に27.4%のトップシェアを誇る、マンション建設専業のゼネコンだ。68年のマンション建設参入以来、新築分譲マンション累積建設戸数は56万戸を突破し、こちらもトップシェアを保っている。この実績で培ってきた建設ノウハウが、採算が悪いといわれるマンション建設でも高収益を叩き出している。不動産会社が見積もった建設費を適正と判断すれば、ほぼ言い値で受注してくれる長谷工は、不動産会社にとっては不可欠の存在といえる。

他社が追随できないビジネスモデル

 採算が悪いといわれるマンション建設で、長谷工はなぜ高収益を上げられるのだろうか。これは、単純に受注量が多いというだけでは説明がつかない。同社OBの不動産業界関係者は「それは、独特の土地持ち込み営業と施工能力の高さにある」と説明してくれた。

 まずは土地持ち込み営業だ。不動産会社に、この土地持ち込み営業をしているゼネコンは少なくない。だが、長谷工の場合は営業マン自らがマンション用地を仕入れ、その用地に見合ったマンションの事業計画と収支見積もりを添えて、用地を不動産会社に売り込むのが特徴だ。採用されると、設計込みで工事を特命受注する。

採算の悪いマンション建設で高収益?長谷工の営業と施工能力 不動産各社が秘かに日参のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!