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2023.03.06 11:45
2018.08.23 00:05
篠崎靖男「世界を渡り歩いた指揮者の目」
『スター・ウォーズ』や『インディー・ジョーンズ』の音楽が観客の心を震えさせる秘密
「映画がヒットすれば、あとからドンドン追加の出演料も入って来るし、首席奏者ともなると、ヒット作品で家を買った人もいたらしいよ]
そのような大ヒット作品をたくさん作曲してきたジョン・ウィリアムズは、どれほど稼いでいたのかと想像を巡らせたくなりますが、当のジョン・ウィリアムズは、まったく偉ぶることもなく、自分の音楽だけでなくチャイコフスキーやプロコフィエフも愛する素敵な音楽家です。大スター作曲家にもかかわらず、とても謙虚な方で、当時若造だった僕に対しても丁寧に接してくれて、僕も大ファンになりました。オーケストラのメンバーも、親しみを込めて「ジョン」と呼んでいます。
『スター・ウォーズ』の指揮で大失敗
僕も『スター・ウォーズ』を何度か指揮したことがあります。最近は、日本のオーケストラもよく演奏していていますが、僕にとって一番印象的だったのは、ロサンゼルス・フィルハーモニックによる子供のためのコンサートです。そのときのテーマは「映画音楽」でした。
ステージを、映画音楽スタジオと同じにするという趣向でした。ステージの背後には大スクリーンが設置され、『スター・ウォーズ』の戦闘場面が映し出されています。もちろん、サウンドは無く、代わりに生オーケストラが演奏するわけです。指揮者の僕の前にも小さなモニターがあり同じ画像が流れているのですが、ひとつ違うのは、モニター画面を横切って右から左に点が通るのです。その点が真ん中に来るタイミングで指揮棒を振れば、オーケストラと画像がぴったりと合う仕組みです。
さて、本番。オーケストラの演奏が素晴らしく、僕も感動してしまい、少しの間モニターからうっかりと目を離してしまいました。気が付くと、点と指揮がずれてしまっている。オーケストラは僕の指揮だけを頼りに演奏しています。焦って大画面を見ると、敵の戦闘機は、音楽よりも先に爆発していたのでした。
(文=篠崎靖男/指揮者)
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