クレジット利用は短期の借金、現金を決済口座にすぐ用意
クレジットカードを持っていると、手元に現金がなくても欲しいものが買えてしまう。「来月の給料を充てれば大丈夫」などと考えて、自分が持っている現金以上の買い物をしてしまうこともあるだろう。しかし、クレジットカードでの買い物は、カード会社が商品などの代金を立て替えて店舗に支払い、その立て替え分を後日利用者に請求するという仕組みだ。基本的なことだが、現金決済とは異なり短期間ではあるが第三者に借金をしているということを忘れずにいたい。
クレジットカードでいくら買い物をしたか忘れてしまい、決済期日前に請求金額を見て慌てるということがたびたび起こる人は、カードで買い物をしたら代金をすぐに引き落とし口座に入れるという習慣を持とう。ただし、そのためには給与振込口座とは別にカード決済専用の口座を作る必要がある。買い物のたびに現金を振り込むのが面倒ならば、月々のカードの予算を5万円などとあらかじめ決め、その予算内でカードを使うようにしてもよいだろう。
クレジットカードでの買い物は現金が消えていく実感が薄いため使いすぎる傾向にあり、現金より平均23%も支出が増えるという研究結果もある(『「お金」のシークレット』<デビッド・クルーガー/三笠書房>より)。支払いが滞ると信用情報機関で事故情報として記録され、いわゆる“ブラックリスト”に名が載った状態となる。そうすると、新たなカードを作ったり、住宅ローンを組むことが制限される場合もあるので、くれぐれも注意が必要だ。
ライフスタイルに合えば、年会費ありでもオトクに
賢くカードと付き合うためには、カード選びが重要だ。多数のカードを使いこなす上級者もいるが、まずはメインカード1枚、サブカード1枚の2枚を持てば十分だ。普段使うメインカードは、自分の生活導線に合ったものを選ぼう。車移動が多い人はガソリン代が安くなるENEOSカードや出光カード、ネットでの買い物が多い人はポイント還元率が高い楽天カード、VIASOカードなどが候補になる。
年会費無料のカードは加入しやすいが、実は年会費がかかったとしても自分に合ったカードを選んだほうが得になる場合も多い。ゴールドカードは年会費が高いため敬遠しがちだが、使い方によっては意外と簡単に元が取れる。
例えば、セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カードには、空港から自宅までの手荷物無料配送サービスや、海外旅行保険が付帯されている。手荷物配送が1回2000円程度、海外旅行保険が1回3000円程度とすると、出張などで年に数回海外へ出掛ける人にとっては、年会費1万8000円は高くないだろう。
ダイナースカードは年会費2万2000円と高額だが、高級レストランで2人以上食事をすると1人分無料、各地ゴルフ場でのプレイフィー半額など、多くの付帯サービスがある。ゴルフ好きな人、結婚記念日やパートナーの誕生日など特別な日には高級レストランで食事をする人にとっては、年会費を払った分のメリットを十分に享受できる。自分のライフスタイルとカードの相性をよく考え、選んでほしい。
支払いは1回払い、分割やリボは使わない
カードを使ったら、すぐに現金を決済口座に入れるか、予算内で買い物をするという原則さえ守れば、支払い回数はすべて1回払いで済む。1回払いを基本とし、分割やリボルビング払い、キャッシングなどは使わないということも肝に銘じておこう。カード会社は、分割やリボ払いの手数料で儲けている。リボ払いを勧めるダイレクトメールが届くこともあるが、それに乗ってはいけない。リボ払いは、利用金額にかかわらず毎月一定額を払い続けるので、月々の支払負担額は少なく済むが、いつまでも支払いが続き、自分が使った総額も実感できなくなってくる。その上、利息は年約15%と非常に高いので、支払い回数が増えるほど損が大きくなる。
自分に合ったカードを選び基本的な使い方を守れば、ポイント還元や付帯サービスなどで大きなメリットを得られるクレジットカード。まずは今財布に入っているカードを見直し、ベストな1枚を探すところから始めてみてはいかがだろうか。
(文=大竹のり子/CFP、株式会社エフピーウーマン代表取締役)