ビール100g当たりに含まれるプリン体は3.3~6.9mgで、アルコールの中では多いほうです。焼酎にはプリン体が含まれないですし、日本酒は100g当たり1.2mg、ウイスキーは同0.1mg、ブランデーは同0.4mg、ワインは同0.4mgです。
しかし、ビール以上にプリン体を含む食品は多数あります。例えば、白米は同25.9mg、枝豆は同47.9mg、豚バラは同75.8mg、醤油は同45.2mgであり、普段食べている食品のほうが、はるかに多いことがわかります。なお、プリン体が特に多い食品は鶏レバーで同312.2mg、ほかに豚レバー同284.8mg、牛レバー同219.8mg、カツオ同211.4mg、マグロ同157.4mg、鶏ササミ同153.9mg、豚ヒレ同119.7mgなどです。
前述したように、アルコールは尿酸をできやすくします。したがって、レバーなどプリン体を多く含む食品とともにアルコールを摂り続ければ、尿酸が増えることになります。ビールの場合、ほかの食品に比べてプリン体の量はかなり少ないので、ビール単体で痛風を起こす可能性は低いと考えられます。しかし、アルコールの中ではプリン体が多めで、さらにプリン体を多く含む食べ物との相性が良いため一緒に摂取しやすいなど、痛風の原因といわれるようになったのです。
そこでビールメーカーは、それを逆手にとって次々にプリン体ゼロをうたった発泡酒を開発し、売り上げを伸ばしたのです。そのため、「プリン体は体に悪い」と思い込む人が増えていったようです。しかし、プリン体そのものは決して体に悪いものではありません。過度のアルコール摂取などが原因で、結果的に体内で尿酸が増えてしまうことが問題なのです。
痛風を防ぐには、プリン体を多く含む食べ物とアルコールを摂りすぎないように気を付けることが重要です。このことを忘れないで下さい。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)