ところが先日、耳鼻科で「耳掃除をしてはいけない」と注意を受けてしまった。ある日、突如として耳の奥に痛みが走り、聴こえが悪くなったので耳鼻科で診てもらったところ、奥のほうに耳垢がたまり、しかも化膿していた。
耳鼻科医いわく、「耳垢は放っておいても出てくるようになっている。綿棒で掃除をすると、かえって奥に押し込む結果となる」らしい。調べてみると、多くの耳鼻科医が同様の警鐘を鳴らしている。
耳垢は、食べ物を噛むという顎の動きに伴って外へと送り出されるメカニズムになっているという。つまり、そもそも掃除しなくてもきれいになるのだ。
綿棒メーカーでは、「耳や鼻のお手入れに」「水泳の後や風呂上がりの耳の掃除に」などとうたっているが、綿棒で耳掃除をしてはいけないのだ。正しい使い方は、耳の周りを掃除するだけにとどめ、耳の穴(外耳道)に入れないということのようだ。
綿棒以外にも、さまざまな形状の耳かきがあるが、いずれも使わないほうがいいと多くの耳鼻科医は口をそろえる。耳垢を奥に押し込んでしまうだけではなく、耳の中は皮膚が柔らかいため、頻繁にこすったり強くひっかいたりすることで傷をつけ、炎症を起こす恐れがあるという。それは外耳炎と呼ばれ、痛みやかゆみ、灼熱感、耳だれといった症状が起こる。たかが耳掃除だが、方法を誤ると難聴になったり、ひどい場合には鼓膜が破れることもあるのだ。
耳かきの反対側に綿状の「梵天」がついているものがあるが、これも耳垢を押し込むことになるため使わないほうがよい。
海外では、耳鼻科学会が綿棒での掃除をしないように呼びかけている国もあり、綿棒メーカーも「耳の穴に入れないように」と注意書きを添えるようになってきている。
毎日耳掃除をしたい場合は、やさしく数回耳かきで奥から手前にかき出す。綿棒は細いタイプのもので耳の穴の入り口から1センチくらいを軽く拭き取る程度にとどめるといいという。
また、インドで古来行われてきた耳掃除は、ごま油を耳の穴に垂らすという方法だが、これも効果的なようだ。酢とアルコールと水を混ぜた液体を耳の穴に垂らすという方法も実際に体験してみると、なかなか気持ちよかったのでオススメしたい。
数十年前にはやったイヤーキャンドルが最近、また人気になっている。デトックス効果や耳の中のツボを刺激するなどといわれているが、やけどや耳の中が炎症を起こすなどのトラブルも多発しているので、試す場合は十分に注意してほしい。
(文=編集部)