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2023.06.08 19:13
2016.04.30 00:12
新見正則「医療の極論、常識、非常識」
【熊本地震】避難所に潜む「死の危険」…生死を分けるのはストッキング&ある行為!
よって、強制的に下肢を圧迫し、静脈の断面積を小さくすると、静脈の流速が保たれるので血液が固まりにくくなるのです。医療用ストッキングが家庭にある方は、震災時はぜひ着用すべきです。
できることをやる
さて、非常識君の意見のように車中泊を禁止することも、極論君の意見のように全員に無料で医療用弾性ストッキングを配布することも、ともに効果があります。しかし、常識君は次のように主張します。
「被災地では、できることをいろいろとやるしかないのではないか。車中泊をせずにすむ環境の整備、そして可能なら医療用ストッキングの無料配布、脱水にならないように飲料水の十分な提供、そしてトイレに行くことが嫌ではなくなるようなトイレ環境の整備などだ。エコノミークラス症候群は防ぐことができる震災の合併症だ。どれもできなければ、少なくともこまめに歩けば、相当のエコノミークラス症候群は予防できる。同じ姿勢を続けずに、せめてこまめに歩くことをお互いに心がけよう」
確かに、常識君の言うとおりですね。歩けば、つまり静脈のポンプであるふくらはぎを使えば、静脈血は流れるのです。被災地だからこそ、しっかりと散歩をすることが大切ですね。今日は非常識君、極論君、常識君とも正しい意見を述べて終了です。
エコノミークラス症候群は、下肢の静脈内の血の塊が剥がれて、肺に詰まることによって起こります。肺に詰まって換気障害を引き起こすので死亡することもあるのです。その原因は足の静脈にできた血栓です。歩けば、足の静脈血の鬱滞は軽減します。だからこそ歩くことが大切なのです。
(文=新見正則/医学博士、医師)
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