牛丼チェーン・吉野家を展開する吉野家ホールディングスは2019年2月期決算で純損益が60億円になるなど、一時期業績が低迷していた。しかし、現在は復調傾向にあるようで、同社が今年1月10日に発表した予想によれば、20年2月期の売上高は2150億円、営業利益は36億円になる見込みだという。
この復活劇を支えたのは、昨年3月に発売された牛丼の新サイズ「超特盛」のヒットだといわれている。競争の激しい牛丼業界で抜きん出るためには、消費者の心をつかむ目新しいメニューが必要なのだろう。
吉野家、すき家、松屋の“牛丼御三家”は新商品を熱心に開発し続けている。しかし、それゆえに残念な“ハズレメニュー”が混ざり込むことも少なくない。そこで、今回はリサーチを行って「この春、買ってはいけない3大牛丼チェーンの商品6選」を決定した。さっそく紹介しよう。
吉野家/鰻重(一枚盛)/788円(税別)
当サイトで昨年5月に掲載した「吉野家・すき家・松屋で今、買ってはいけない“地雷”メニュー6選!高いのにガッカリ!」でも紹介した、吉野家の「鰻重」。1枚盛で788円と、吉野家にしては価格が高いわりに鰻の厚さが感じられず、見るからに残念な商品となってしまっている。
肝心の味も見た目通りの仕上がりのようで、鰻ならではのふっくらとした食感が味わえず、がっかりしてしまう人が多いようだ。また、「タレの味が強すぎる」という感想も散見される。新しい仕事が増えて疲れやすい春にスタミナをつけようと鰻を食べるにしても、吉野家の鰻重は選ばないほうがよさそうだ。
吉野家/ライザップ牛サラダエビアボカド/600円(税別)
吉野家で2月に新登場した「ライザップ牛サラダエビアボカド」は、昨年8月の掲載記事「吉野家・すき家・松屋、今夏、注文すると損する“大不評”メニュー6選!」で取り上げた「ライザップ牛サラダ」(500円)に、エビとアボカドを追加したメニューだ。
「ライザップ牛サラダ」の時点でも問題となっていたコストパフォーマンスが、この商品でも大いに疑問となるところ。従来の「牛サラダ」より100円高い価格設定だが、新たに加わったエビやアボカドの量は決して多いとは言えず、やはりボリューム不足を感じてしまった人が相次いでいるようだ。
また、テイクアウトして少し時間がたった場合、ブロッコリーやキャベツといった野菜が生温かくなり、食感が悪くなってしまうという難点も。よほど体に気を配っている人以外は避けておいたほうが無難なメニューだろう。
すき家/NY(ニューヨーク)ポーク丼(並盛)/580円(税込)
2月より販売されているすき家の「NYポーク丼」は、アメリカで親しまれているという燻製肉・パストラミを使用した丼メニュー。スモーキーなポークとふんだんに盛られたシャキシャキなスライスオニオン、その上にかけられたワサビマヨの相性がいいと、好評を博している商品だ。
では、なぜ今回“買ってはいけない”メニューとして紹介しているのか。実は、商品名から想像することは難しいのだが、かかっているワサビマヨのワサビ感が強すぎるのだ。その鼻に抜ける刺激は、ワサビが苦手な方を悶絶させてしまうかもしれない。
また、そこまで強烈ではないものの、オニオンの辛みもしっかりと感じられる仕上がり。人を選ぶメニューであることは間違いないので、注文してみるかどうかは、自分の好みに合わせて決めていただきたいところだ。
すき家/まぐろユッケ丼(並盛)/660円(税込)
前述した昨年5月公開の記事では、「商品の見た目が悪いからおすすめできない」ということで、すき家の「まぐろたたき丼」(並盛580円)をピックアップした。その「まぐろたたき丼」の上に卵黄をのせ、ピリ辛のユッケダレをかけたメニューが、「まぐろユッケ丼」である。
見た目の悪さはそのままに、特製醤油がユッケダレに変更されているため、非常にジャンクな味づけとなっている様子。もちろん、その味わいが好きという人も多いメニューではあるが……海鮮にユッケダレという奇妙な取り合わせには、拒否感を覚えてしまう人も出てくるのではないだろうか。
松屋/キムカル丼(並盛)/500円(税込)
松屋の「キムカル丼」も、昨年5月公開の記事で触れたメニューだ。味がちゃんと染み込んだ薄めのカルビ肉と、上にのっかったキムチは「相性バツグン」だと公式サイトでは宣伝されているのだが……そのジャンキーなテイストは、好き嫌いが大きく分かれるようだ。
また、カルビ肉が硬いという声や、生卵などで味を変えなければ途中で飽きてしまうという感想も目立つ。松屋には、ほかにも「ネギたっぷりプレミアム旨辛ネギたま牛めし」(並盛490円)や「ビビン丼」(並盛500円)といったピリ辛の丼メニューがラインナップされているので、そちらの注文をご検討いただきたい。
松屋/創業ビーフカレギュウ(並盛)/660円(税込)
昨年12月より定番化された松屋の「創業ビーフカレー」(並盛490円)は、とろとろになるまで煮込まれた牛バラ肉が味のポイントになっている。「創業ビーフカレギュウ」は、そのカレーに松屋自慢の「牛めし」を合わせたメニューなのだが……あまり、おすすめできない。
なぜなら牛めしの肉の存在感が強すぎて、カレーに入っている牛バラ肉の風味に勝ってしまうからだ。また、カレーの味つけがそもそも甘めなので、同じく甘みのある牛めしが全体のバランスを崩してしまっていると感じる人もいる模様。
もともと創業ビーフカレーはファンの多いメニューであるだけに、わざわざ“カレギュウ”にしてしまうのはもったいないといえるだろう。
――今回はおすすめできない商品を取り上げたが、これらの牛丼チェーン3社が安価でハイクオリティなメニューを数多く提供しているのは言うまでもないことだ。今回紹介した商品にさえ注意していただければ、おいしいメニューにありつけることだろう。
(文=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)