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午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

その保険、本当に必要?手厚い公的保険、知ってる?治療代返金、休業・入院時の生活費補償

文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 これらの共済組合では、会社員の方が加入している健康保険に代わる制度として「短期給付事業」を行っていますが、受けられる給付の内容は健康保険とほぼ同じと考えてよいでしょう。

 また、業務上の病気やケガについても、「国家公務員災害補償法」や「地方公務員災害補償法」などの適用があり、公務災害という名称で、業務・通勤時の傷病のための「療養補償」や休業時の「休業補償」などの給付が受けられます(保険料の個人負担はなく、勤務先の役所等が負担)。

労働保険も手厚い

 労働者が加入している労働保険は以下の2種類です。

・労働時の災害を保障する「労働者災害補償保険」(いわゆる労災)
・失業時の生活を保障する「雇用保険」(いわゆる失業保険)

 労災保険は会社の業務を原因とするケガ等を保障する保険です。この適用を受けると、病院での治療費や入院代が無料となり、職場に復帰するまでの給与も全額支払われます。

 また、労災で死亡した場合には、遺族への一時金や補償金が支給されます。遺族補償給付は、労働者が業務災害により死亡した場合に遺族に支給され、遺族給付は労働者が通勤災害により死亡した場合、その遺族に対し支給されます。

 金額は遺族の数によって異なりますが、遺族が1人なら給付基礎日額の153日分、3人なら223日分が支給されます。

 遺族補償一時金は労働者が業務上の事由により死亡した場合、遺族一時金は労働者が通勤災害により死亡した場合です。労働者の死亡当時、遺族補償年金または遺族年金の受給資格者がいない場合、給付基礎日額の1000日分が支給されます。遺族特別支給金は、労働者の死亡当時の遺族補償年金や遺族年金の受給資格者がいない場合、300万円が支給されます。

 ちなみに労災保険には正社員、パート、アルバイト、賃金をもらっているすべての労働者が加入するもので、費用は全額会社が負担します。民間のように数千万円の保障とまではいきませんが、自己負担ゼロで保険に加入できているわけですから、こちらもかなり手厚い生命保険といえるでしょう。

 以上のように、日本の公的保険制度はかなり手厚いことがわかります。もちろん、民間の保険に救われた、保険に入っておいて良かった、という人も少なくないので、無駄だとかやめろなどと言うつもりはありません。

 しかし、現行制度と自分の状況とを照らし合わせたとき、民間の医療保険が本当に必要か、再考してみる価値はあるのではないでしょうか。
(文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役)

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 1971年、岡山県瀬戸内市牛窓町生まれ。岡山県立岡山城東高等学校(第1期生)、中央大学経済学部国際経済学科卒。米国公認会計士。
 東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。
 2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声をつくるためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。

Twitter:@tokiogodo

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