化学調味料も体を鈍らせる物質ですが、さらに困るのは、化学調味料を使うと、その中に含まれているグルタミン酸というアミノ酸を過剰に摂取してしまい、これが体内のアミノ酸のバランスを崩してしまうことです。
特定のアミノ酸だけが過剰な状態になると、体は混乱を起こします。実際にはアミノ酸の不足がない状態であるにもかかわらず、相対的に欠乏状態が出現したと体が錯覚してしまうのです。それを「アミノ酸インバランス」といいます。アミノ酸インバランスが起きている体では、不必要なアミノ酸に対する欲求が生まれます。その不自然な欲求に従って食事をしていると、明らかにアミノ酸の過剰摂取になります。多くの現代人が、このアミノ酸の過剰摂取状態に陥っていると考えるべきでしょう。
たんぱく質は熱や、食品添加物などの化学物質によっても変性を起こしやすい物質です。なんらかの理由で変性が起きた異常なたんぱく質が神経細胞内に蓄積すると、パーキンソン病やアルツハイマー病、ハンチントン病などが起こると考えられています。
オートファジーはこのような変性疾患を起こさないようにしている可能性もあります。オートファジーについては、まだ不明なところが多く、今後の研究に期待するところが大きいのですが、私たち人類がそれほど多くのアミノ酸源、つまり植物性、動物性を問わず、たんぱく質をふんだんに食べることができない食生活が長く続いたため、生存し続けるためにこのようなシステムが体に備わっている必要があったのだと考えられています。ようするに、私たち人類はそもそも過剰に摂取したたんぱく質を体内でうまく処理できないのです。これが、たんぱく質の過剰摂取はいけないという説の根拠です。
オートファジーは、飢餓状態の時に特に激しく起こることもわかっています。食事から栄養を摂れない時は、体はその一部を分解し、それを栄養素としてたんぱく質を合成しようとするからでしょう。したがって、ファスティング(断食)などで体が活性化する時には、オートファジーが激しく起きていると考えられます。また、哺乳類の宿命として、新生児は生まれると同時に飢餓状態に陥るわけですが、その時にもオートファジーが起きているから生きていられるということも確かめられています。
肉や魚中心の食事は、今すぐやめるべき
いずれにしても、まだ研究の余地が多々あるオートファジーですが、私たちの生命活動に非常に大きな影響を与えていることは確かなようです。私たちは、体内でリサイクルしてまで使うほど大事にしているアミノ酸や、そのアミノ酸によってつくられているたんぱく質を、日々の食生活の中で過剰に摂取して無駄に排泄するなどという愚かしい行為はやめるべきでしょう。自然の摂理に則った食事の方法を理解し、私たちの食生活が地球に負荷をかけたり、環境に悪影響を与えないようにできるはずです。