大東建託は過去最大規模の居住満足度調査を行い、「いい部屋ネット 街の住みここちランキング2020<首都圏版>」を発表した。「住みここち『駅』ランキング」のトップ3は「半蔵門・麹町G(グループ)」「築地・新富町A(エリア)」「世田谷代田」、「住みここち『自治体』ランキング」のトップ3は「東京都中央区」「東京都文京区」「東京都目黒区」となっている。
大東建託賃貸未来研究所所長・AI-DXラボの宗健氏が6月18日にオンライン記者発表会を行い、内容について解説した。
「半蔵門・麹町G」が1位の理由
まず、「住みここち『駅』ランキング」のトップ10は以下の通りだ。
1.東京メトロ半蔵門線/半蔵門・麹町G
2.東京メトロ日比谷線/築地・新富町A
3.小田急線/世田谷代田
4.東京メトロ日比谷線/広尾
5.東京メトロ南北線/東大前
6.東京メトロ丸ノ内線/本郷三丁目
7.東京メトロ丸ノ内線/後楽園G
8.みなとみらい線/元町・中華街
9.東京メトロ千代田線/代々木上原
10.東京メトロ銀座線/表参道
前年と比較すると、2位だった市ヶ谷が69位になるなど、ランキングは大きく変動した。しかし、順位の下落は必ずしも評価の下落ではなく、回答属性の変化も影響しているという。
一方で、新たに登場したのが半蔵門・麹町Gと世田谷代田だ。半蔵門・麹町Gは「IT企業やメーカーなどのオフィスビルが数多くあり、皇居の南側で桜のきれいな場所。大使館も多くあり、静かで治安が良い住環境で、昔ながらの高級住宅地です」(宗氏)
2位の築地・新富町Aは前年の8位から上昇した。「隅田川寄りの聖路加病院周辺は公園やマンションも比較的多く、銀座の徒歩圏内でありながら静かな住環境で、利便性も評価されています」(同)
3位の世田谷代田は「下北沢の隣の駅で新宿・渋谷へのアクセスが良く、古くからの閑静な住宅街」(同)。小田急線の地下化工事が完了し、駅周辺に新しい施設が建設され、街の雰囲気が一新したことも上位にランクインした一因のようだ。
このように、再開発は街の住みここちに大きな影響を及ぼす。今回のランキングでは、新興住宅地やニュータウンの評価が高いことも特筆すべきだ、と宗氏は語る。
「新しく開発されたことによって、港北ニュータウン、千葉ニュータウン、新浦安、海浜幕張、柏の葉キャンパスなど住みここちが良いきれいな街が誕生しています。再開発には批判もありますが、実際に住んでいる人たちの住みここちは高いといえます」(同)
自治体トップは東京都中央区
また、「住みここち『自治体』ランキング」のトップ10は以下の通りだ。
1.東京都中央区
2.東京都文京区
3.東京都目黒区
4.東京都渋谷区
5.東京都武蔵野市
6.東京都港区
7.神奈川県横浜市都築区
8.千葉県印西市
9.千葉県浦安市
10.神奈川県三浦郡葉山町
1位の東京都中央区には築地・新富町Aが、2位の東京都文京区には東大前、本郷三丁目、後楽園Gが、3位の東京都目黒区には自由が丘があり、駅の評価が自治体の評価を押し上げている側面もあるようだ。
県別に見ると、神奈川県の1位は港北ニュータウンのある横浜市都筑区、埼玉県の1位はさいたま市浦和区で前年と変わらないが、千葉県の1位は千葉ニュータウンのある印西市が前年の2位から評価を高めた。
東京都の人口が初めて1400万人を突破するなど、東京一極集中の流れが止まらないなか、新型コロナウイルスの影響で企業のリモートワークが普及するといった流れが、今後は街や不動産の評価にも影響を与えることが予想される。アフターコロナの世界では、どの街が人気となるのだろうか。
(構成=長井雄一朗/ライター)