本連載の前回記事『蔓延する「エセ科学」商法の正体…水素水、コンビニ弁当危険説、マイナスイオン』で、「エセ科学」商法の実態について、マイナスイオン、水素水などを例に挙げながら紹介しました。
なお、冒頭で断っておきますが、具体的事例として挙げた商品そのものを非難することが本連載の目的ではありません。また、学術的にきちんと研究が進められている分野があることも知っておいていただけたらと思います。
今回は、消費者が「エセ科学」を見抜くことができるかどうか、そして悪徳商法に騙されないようになれるかどうかについて、焦点を絞って考えてみたいと思います。
たとえば、「水素水」についてです。
活性酸素が、さまざまな病気に関連していることは、多くの人が聞いたことがあると思います。そして、酸素と水素が結合すると水になるということは、小学校や中学校の理科の知識で皆さん知っていることでしょう。
ですから、水素が活性酸素を除去して、病気の予防や治療に役立つのではないかという話は、論理的に辻褄が合いそうな気がします。事実、水素を用いた臨床試験も行われており、酸化ストレスマーカーが減少することも確認されています。さらに、心肺停止後に心拍が再開した人を対象とした「水素ガス(※注意:水素水ではありません)」を用いた臨床試験も計画されています。
関連記事:「心停止への水素ガス吸入、臨床試験始まる」Medical Tribune2016.11.30
しかし、皆さんもご存じの通り、昨年末頃から水素水ブームが起こると、「嘘・大げさ・まぎらわしい」のCMでおなじみの日本広告審査機構(JARO)に登場してもらわなければならないような広告が目につくようになりました。つまり、科学的に正確な情報と不正確な情報が、世の中に入り乱れている状態が起きたわけです。
では、「科学的に正確な情報」と「科学的に不正確(=嘘・大げさ・まぎらわしい)な情報」との境界線を見極めるためには、どうしたらよいのでしょうか。