重要なのは科学的思考力。でも、弱点がある
「科学的リテラシー」という言葉は聞いたことがありますか。文部科学省は、科学的リテラシーを「自然界及び人間の活動によって起こる自然界の変化について理解し、意思決定するために、科学的知識を使用し、課題を明確にし、証拠に基づく結論を導き出す能力」と定義して、さまざまな取り組みを行っています。そして、科学的リテラシーの向上のためには、科学的思考の習得が重要になってきます。
科学的思考では、新しい発見のみならず、通説や定説となっているものでも、まずは疑ってみる姿勢が求められます。つまり、情報を批判的に吟味することが科学的思考の基本になります。これが「科学的に正確な情報」と「科学的に不正確な情報(エセ科学)」を見極めることにつながります。
ですが、その科学的思考には弱点があります。科学的思考では、情報を批判的に吟味することを念頭に置きつつ、どんな奇妙な発想であっても、まず一旦は心を開いて受け止めることも求められます。そのため悪徳商法は、そこを逆手に取って、エセ科学を振りかざしてくる可能性があります。
さらに、人間の脳が情報を処理する仕組みには認知バイアスなどが存在し、生まれつき騙されやすくできていることも過去の連載で取り上げました(以下記事参照)。
・『「医者がひた隠す!薬の恐ろしい副作用!」的な記事は、結構デタラメなものが多い?』
『食品添加物や残留農薬は本当に危険なのか? 横行するリスク過大視&認知バイアスの罪』
身も蓋もない話になってしまいますが、いくら科学的思考を身につけたとしても、エセ科学の矛盾点を完全に見抜くことは難しく、悪徳商法に騙されてしまう可能性はいつまでも付いて回ってしまうことになります。
悪徳商法に騙されない唯一の手段
そこで、「エセ科学」を見抜く方法についてはいったん脇に置き、とにかく悪徳商法に騙されないための解決策・対応策について考えてみたいと思います。