肉料理には苦味が特徴の赤ワイン、魚料理には淡白な苦味と酸味と甘味の白ワイン、という飲食上の相性はよく知られている。
では、赤ワインが「『酒さ』を引き起こす飲みもの」として特定されてきた黒歴史をご存じだろうか。
「酒さ」とは、眉間や鼻や頬などの顔面や首部分に赤みや紅潮が表われ、俗に「赤鼻」と呼ばれるのも症状のひとつ。中高年以降の発症が多いが、その名称どおり「酒を飲んでいるかのように見える」のが特徴であるが、実際の飲酒に関しては「赤ワイン」が悪者扱いされてきた。
だが、赤ワイン党の方もご安心いただきたい。実はそんなワイン神話、酒さをめぐる従来の紅白判定を覆すような最新知見が、4月20日の『Journal of the Amercan Academy of Dermatology』(オンライン版)に掲載された。
肌に悪いのは赤ワインより白ワイン?
むしろシャルドネ(白ワインぶどう品種の王様)のグラスワインを嗜むほうが、肌にとってはよろしくないのかもしれない――。そんなピリッと酸味の効いた逆転見解を報告したのは、米ブラウン大学皮膚科・免学助教授のWen-Qing Li氏を筆頭著者とする研究陣だ。
彼らは今回、慢性の炎症性皮膚疾患である酒さ発症について、アルコールの果たす役割という点に着目した。研究に際しては、1991~2005年に「看護師健康調査(Nurses’Health Study)2」に参加した約8万3000人の女性の傾向を追跡調査。
その14年間にわたる調査期間中から、4年ごとの飲酒に関する情報を取捨選択して精査した結果、そのうちの約5000人が新たに酒さを発症している事実が判明した。
分析によれば、アルコール摂取量が増加するに伴い、酒さリスクは有意に上昇していた。とりわけ「白ワインと蒸留酒(ウイスキー、ブランデー、ウオツカなど)が有意に関連している」という意外な傾向も読み取れた。
具体的には、まったく飲酒しない人に比べて、白ワインを月1~3杯程度飲む人は酒さリスクが「14%上昇」し、週5杯以上嗜む人の場合は実に「49%上昇」との高リスクが認められた。
この週5杯ペースが蒸留酒(前掲以外に泡盛、ジン、ラム、テキーラなども同様)の嗜みであれば、「29%上昇」の酒さリスクだった。