1月20日、大東建託は過去最大級の沿線ランキング「いい部屋ネット 街の住みここち沿線ランキング2020<首都圏版>」を発表し、大東建託賃貸未来研究所とAI-DXラボの所長である宗健氏が記者会見を行った。
みなとみらい線が2年連続1位に
トップ10は以下の通りだ(カッコ内の数字は前年の順位)。
1.横浜高速鉄道みなとみらい線(横浜~元町・中華街/1)
2.東急目黒線(不動前~多摩川/2)
3.東急東横線(代官山~多摩川/3)
4.東急世田谷線(三軒茶屋~下高井戸/6)
5.京王井の頭線(神泉~吉祥寺/4)
6.JR中央線(中野~武蔵境/5)
7.東急大井町線(大井町~二子玉川/7)
8.横浜市営地下鉄ブルーライン(あざみ野~北新横浜/8)
9.東急田園都市線(池尻大橋~二子玉川/10)
10.東京メトロ半蔵門線(清澄白河~押上/11)
第1回の前年から大きな変化はなく、引き続き東急5沿線がランクインした。東急沿線の街づくりについて、宗氏は以下のように語る。
「100年にわたる街のブランディングが、着実に成功してきました。ただし、街のブランディングを一気に進めようとしても難しい面もあり、地道な努力が求められます」(宗氏)
また、都心や横浜へのアクセスがよい沿線が上位にランクインし、トップ3は前年と変わらない顔ぶれだ。1位のみなとみらい線(横浜~元町・中華街)について、宗氏はこう語る。
「家賃相場(沿線内各駅から徒歩10分、築10年25平米のマンションをベース)は8.7万円。沿線にみなとみらいのマンション群があり、中華街や横浜元町ショッピングストリートなどの観光スポットもある。東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武有楽町線・池袋線と相互直通運転をするなど、利便性が高い点が評価につながっています」(同)
2位の目黒線(不動前~多摩川)は家賃相場が9.3万円だ。
「2000年9月から都営地下鉄三田線と東京メトロ南北線に乗り入れており、都心へのアクセスが良い。洗足、大岡山、奥沢といった地域は戦前からの閑静な分譲地でイメージも良く、目黒線の地下化による再開発が進み、商業施設も整備されるなど、ポテンシャルが高い地域です」(同)
3位の東横線(代官山~多摩川)については、以下のような見解を示す。
「家賃相場は9.1万円。13年に副都心線との直通運転を開始し、渋谷では東京メトロ銀座線、JR山手線、井の頭線、中目黒では東京メトロ日比谷線、多摩川・田園調布では目黒線に接続しています。沿線には田園調布、自由が丘、代官山、武蔵小杉、慶應義塾大学のある日吉などがあります」(同)
また、住みここちが良いわりに家賃相場が安い“穴場の沿線”については「たとえば、13位の西武多摩川線(武蔵境~是政)は平均家賃相場が5.9万円」と挙げた。
今回の調査では新型コロナウイルスの影響は見られないというが、今後は「街の住みここち」や「住みたい街」のランキングに影響はあるのだろうか。
「おそらく、大きな影響はないでしょう。リモートワークの普及が影響するという指摘もありますが、リモートワークができる人は全就業者の2割程度にすぎず、住まい選びは通勤だけでなく、子どもの学校や地域コミュニティ、遊びに行く場所など、さまざまな要因で決まるものです」(同)
最後に、因子別に見てみよう。「生活利便性因子」は世田谷線、「静かさ治安因子」は北総鉄道北総線、「交通利便性因子」は半蔵門線、「親しみやすさ因子」は中央線、「イメージ因子」はみなとみらい線、「自然観光因子」は江ノ島電鉄線、「行政サービス因子」は西武多摩川線、「物価因子」は北総線が、それぞれトップとなった。
(文=長井雄一朗/ライター)