はしか、水ぼうそう、おたふく風邪はかかったほうがいい?
ただ、筆者が申しあげたいのは、なんでもかんでもワクチン接種というのはいかがなものかと思うのと同時に、今出ている結論がすべてではなく、医学を含めた科学は万能ではないということです。
一例として挙げますと、はしかのワクチンです。はしかはそもそも、子供が呼吸器を発達させるために必要なステップです。同じように水ぼうそうは泌尿器を、おたふく風邪は生殖器を発達させるために越えなければならない重要な関門なのです。ワクチンを接種することで病気を回避できたとしても、それは将来的にはあまり良いことにはつながりません。つまり体が未発達なまま、大人になっていくということですから。
興味深いのは、保育園や幼稚園でいくらはしかやおたふく風邪や水ぼうそうが流行していても、かからない子はかからないということです。それは、その子の体がまだ準備が整っていないからです。
人間の成長は一様ではありません。早めに背が伸びる子もいれば、長じてから一気に背が伸びる子もいる。どちらがいいとはいえません。それを一様に、何カ月から何歳までの間に継続的に何種類かのワクチン接種をするべきと決めつけるのは、あまりに乱暴なのではないでしょうか。もっとそれぞれの個性を大事にするべきだと思います。
私たちが日々の生活の中で着目すべきは、自分や子供の免疫力を強くすることです。それには、食生活のあり方がもっとも重要です。免疫力を上げるために必要とされる栄養素は、ビタミンA、ビタミンB群(8種類)、ビタミンC、ビタミンE、そして必須ミネラルのひとつである亜鉛です。これらの栄養素を恒常的に摂取するには、精製度の低い穀物と豆類を食事の中心に据え、そこに多種類の季節の野菜を組み合わせ、さらに少量の良質な動物性たんぱく質を摂らなければなりません。それをできるだけ簡単に実現するために考え出したのが、筆者がいつも唱えている「オプティマルフードピラミッド」なのです。
かくいう筆者は生まれてこの方、インフルエンザに一度も罹患したことがありません。そのため、そのつらさもわからないのですが、あえて言うなら、ワクチン接種をするよりも、リスクがまったくない食生活の改善、つまりは免疫力を向上させるほうが、インフルエンザを防ぐためにはよいのではないかということなのです。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)