秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまの婚約内定相手である小室圭さんの母親の佳代さんが、子育て、金銭トラブル、眞子さまへの想いなどについて語った記事が、「週刊文春WOMAN」(2021夏号/文藝春秋)に掲載された。だが、批判が殺到しているようだ。
なかでも多いのが、「自分の様々な疑惑について真実を語るべきだ」「説明責任を果たしてほしい」という声だが、当然だと思う。金銭トラブルの相手である佳代さんの元婚約者は、解決金の交渉に応じる意向を示したが、「私はあくまで交渉の相手は小室圭さんではなく、小室佳代さんだと思っております」とコメントしている。また、自殺した夫の遺族年金を “不正受給”していたのではないかという疑惑もたびたび報じられてきた。にもかかわらず、当事者でありながら黙して語らないのだから、こういう批判が出てくるのは仕方ない。
今この時期に佳代さんがつらい心中を明かした記事が出たのは一体なぜなのか? もしかしたら、被害者面をしているのではないかと疑わずにはいられない。小室圭さんが4月8日に公表した文書にも「自分たち母子はむしろ被害者」というニュアンスが行間からにじみ出ていたからだ。さらに、被害者ぶることに何らかの目的があるのではないかとも勘繰りたくなる。
被害者ぶる人の3タイプ
被害者ぶる人は、その目的から大きく3つに分けられる。
(1)利得を得たい「メリット型」
(2)注目を集めたい「スポットライト型」
(3)復讐したい「リベンジ型」
3つのタイプのうち、もっともわかりやすいのは「メリット型」だろう。何らかの利得を得るために、被害をでっちあげたり強調したりする。典型的なのは、企業をターゲットにしたクレーマーだ。商品やサービスに文句をつけて、 料金を安くしてもらったり、何らかの特典を引き出したりする。
佳代さんの人生を振り返るとたしかに気の毒な面はあるが、だからといって数々の疑惑にだんまりを決め込んでいいわけではない。にもかかわらず、それを押し通し、自分の“可愛そうな”状況ばかりを話すのは、世間の同情を引いて、疑惑をチャラにしたい思惑があるからではないか。その結果、息子の圭さんが眞子さまとめでたく結婚できれば、一時金も手にすることができ、万々歳だろう。
被害者ぶる目的の2つめは、注目を浴びたいという自己顕示欲を満たすことで、それが人一倍強いのが「スポットライト型」である。
「スポットライト型」は、悲劇のヒロインになりきり、承認欲求と自尊心を満たそうとする。その典型が、STAP細胞の論文不正問題で一躍時の人になった小保方晴子氏だろう。不正疑惑を追及されたときの記者会見で、少しやつれていた小保方氏は「STAP細胞はあります!」と反論した。涙ぐみながらに訴えるさまは、無実の罪を着せられた悲劇のヒロインさながらだった。
ネット上の反応の多くは冷ややかだったが、なかには「かわいそうだ」「追いつめるな」という同情の声もあった。ごく一部の人に対しては被害者ぶる作戦が功を奏したようなので、同様のことが小室さん母子にも起こりうるかもしれない。その結果、眞子さまとの結婚にあまり反対するのは可愛そうという声が大きくなれば、しめたものだ。
被害者ぶる目的の3つめは、復讐であり、復讐願望が人一倍強いのが「リベンジ型」である。佳代さんは記事の中で、とくに女性週刊誌を批判していたが、これは佳代さんへの批判を繰り返してきた女性週刊誌への復讐なのかもしれない。佳代さんに同情が集まれば、それに比例して女性週刊誌への批判の声が大きくなることを想定しての発言とも考えられる。
ちなみに、私は「女性セブン」(小学館)、「女性自身」(光文社)、「週刊女性」(主婦と生活社)のすべてで小室さん母子への批判を繰り返してきた。だから、佳代さんの復讐願望の矛先は私にも向けられているのかもしれないと思うのは自意識過剰だろうか。
なお、被害者ぶる人の目的別3類型は、きれいに分かれているわけではない。むしろ、被害者ぶる人は、ほとんどの場合、多かれ少なかれこれらの目的の2つか3つを併せ持っている。佳代さんも、被害者ぶることによって3つの目的を遂げられるように私の目には映る。それが透けて見えるからこそ、批判が殺到するのだろう。
(文=片田珠美/精神科医)
参考文献
片田珠美『被害者のふりをせずにはいられない人』青春出版社 2018年