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異常を感じ心電図検査して「異常なし」→実際は冠動脈が梗塞→急性心筋梗塞発症で死の淵

文=道明寺美清/ライター
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異常を感じ心電図検査して「異常なし」→実際は冠動脈が梗塞→急性心筋梗塞発症で死の淵の画像1藤川靖彦氏制作のインフィオラータ

 昨年で60歳となった東京タワー。12月23日には、開業時から現在までの女性アテンダントの歴代制服を披露するファッションショーが行われ、そのショーに彩りを添えたのが、東京タワー1階正面玄関前に飾られたインフィオラータ

 多くのイベントなどで目にするインフィオラータはイタリア発祥のアートで、花びらを地面に敷き詰めて表現するフラワーカーペットである。ヨーロッパを中心に海外ではメジャーなアートだが、日本での歴史は浅い。日本のインフィオラータのパイオニアとなった人物が、花絵師・藤川靖彦氏である。

異常を感じ心電図検査して「異常なし」→実際は冠動脈が梗塞→急性心筋梗塞発症で死の淵の画像2藤川靖彦氏

 2012年のスペイン・バルセロナで行われた「Congreso Internacional de Arte Efimero」に日本代表として参加し浮世絵をモチーフにした作品で世界を魅了した。藤川氏の功績は大きく、日本人が花絵師として広く海外でも認められるようになった。花絵師としての華やかな活躍だけを聞くと、順風満帆と思われがちだが、活躍の裏では「心筋梗塞」の発作、手術、治療と壮絶な体験があり、一度は命さえ危ぶまれた。

苦しさが目に見えない苦悩

 もともと卓球選手として活躍し、社会人となってからは子供たちの指導にも力を入れていた藤川氏。普段から体づくりに余念がなく、ジムでのトレーニングやランニングなども欠かすことがなかった。また、人とのつながりが仕事では重要なこともあり、飲む席は連日で、飲酒量は決して少ないほうではなかった。そんななか、2004年頃から体調に変化を感じ始めていたという。

「筋トレは問題ないのですが、走ると苦しいということが時折あって、ある日、その苦しさが頻繁に続くので、『これはおかしい』と思い、次の日に病院に行きました。しかし、心電図などの検査をしても何も異常はありませんでした。安心して走ると、やっぱり苦しい。『絶対、何かある』と大きな不安を感じ、いろいろな病院を回りました」(藤川氏)

 病院では、心電図、エコー、負荷心電図検査も行った。負荷心電図検査とは、運動しながら心臓に一定の負荷(負担)を継続してかけ、心臓の筋肉の変化を心電図として観察・記録する検査である。それでも異常はなかったという。当時から血圧が高かったが、若さゆえにあまり気にせず、薬は飲んでいなかった。そんなある日、藤川氏が生活を見直す出来事があった。

「血圧が190を超える時がありました。その頃の生活は、とにかく目が回るほどの忙しさとストレスがあり、医者にはストレスが大きな原因のひとつだと言われ、以前から考えていた八丈島への移住を決心しました。その時は、今までの体の違和感も高血圧だったのかと妙に納得していたし、八丈島に移住後は驚くほど血圧が下がり、安心していました」(同)

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