妊娠の華原朋美さん、周囲のサポートと精神的安定が不可欠な理由…精神科医が解説
精神的な安定が大切
もう1つの危惧として、(2)産後うつがある。産後うつは、妊娠・出産によるホルモンバランスの急激な変化、そして育児不安によって起こる抑うつ状態で、少なくとも10人に1人の割合で発症する。だから、決して珍しくない。ホルモンバランスの急激な変化は、妊娠・出産した女性すべてに生じるからだ。
育児不安という点に関しては、第1子出産直後にとくに多い。華原さんも第1子出産を控えているし、かつて精神的に不安定な時期があったということなので、気をつけたほうがいいだろう。とりわけ出産直後は、眠れなくて睡眠薬に頼りたくなることもあるかもしれないが、授乳によって赤ちゃんに伝わるので、服用は望ましくない。
もちろん、産後うつは通常いつまでも続くわけではない。妊娠前は不安定で睡眠薬を常用していたが、妊娠が判明してから中止し、無事出産して、産後うつも乗り越えた女性を何人も知っている。
そのためには、周囲のサポートが不可欠だ。妊娠中に薬に頼らずにすむようにするためにも、産後うつを乗り越えるためにも、お腹の子どもの父親をはじめとする家族や医療関係者が支えて、華原さんが精神的に安定した日々を送れるようにすべきである。
(文=片田珠美/精神科医)