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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

私が絶対にコンビニおでんを食べない理由

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
私が絶対にコンビニおでんを食べない理由の画像1「Getty Images」より

 エルニーニョ現象が発生したことが原因なのでしょうか、2018~19年の冬は「暖冬」という予想が出ています。これが、今年限りのものなのか、あるいは地球環境の変化で、ずっと続いていくのか、我々素人には判断がつきませんが、冬は冬らしくあってほしいと願うばかりです。この数日は急に冷え込んできて、あちらこちらで初雪の話題も出ていますね。

 あまり極端に寒いのも、うれしくはありませんが、冬なのにコートなしでも大丈夫というのも、なんだか気持ちが落ち着きません。筆者が子供の頃は、今よりずっと寒かった記憶がありますが、その頃と比べると、ずいぶんと暖かくなったなぁと、つくづく感じます。筆者が住む岐阜・大垣は、伊吹山からの「伊吹おろし」が有名で、これがめっぽう冷たい風を吹き下ろすので、当然寒いのですが、それでも以前から大垣に住んでいる方にお聞きすると、そうとう暖かくなっているようです。

私が絶対にコンビニおでんを食べない理由の画像2

 不思議なもので、暖冬であってもこの季節になると、なんだか「おでん」が食べたくなります。そのおでんを、おいしくいただくひとつの条件が「寒い」ことだと思うのですが、皆さんはどう思われますか。

 おでん屋さんの暖簾をくぐって、「いや~寒いねぇ」などと言いながら、おでんのたねを選んだりするのは、うれしくもあり楽しい時間でもありますよね。筆者が、絶対に頼むのは「大根」です。大根は、どんな料理にしても好きな野菜ですが、なかでもおでんの大根は大好きです。次は、こんにゃくですかね。そして、つみれ。

 おでん屋さんで“ここが一番”と思うのは、京都の「蛸長(たこちょう)」ですね。もう一軒というなら、愛媛・松山の「赤丹(あかたん)」。どちらも甲乙つけがたくおいしいです。

コンビニおでんは食品添加物のかたまり

 おでんといえば最近は、コンビニエンスストアのおでんを思い浮かべる人が多いようです。それはそれでひとつの食のあり方ですから、文句を言うつもりはありませんが、以前この連載でも書いたように、コンビニのおでんはさまざまな意味で、とてもおすすめできるような代物ではありません。かくいう筆者は、いまだかつて一度たりとも、コンビニのおでんを食べていませんが、それにはそれなりの理由があります。事情を知っていたら、とても食べようとは思いません

 安手のおでんだねは、それこそ食品添加物のかたまりです。ある程度の値を張るおでん屋さんは使っているおでんだねも違いますが、安物は安物なりの原材料ですし、“それなり”のつくり方です。

 筆者が気になるのは、おでんだねになる魚肉練り製品に保存料として使われている「ソルビン酸」「安息香酸ナトリウム」などです。これらの化学物質は、微生物の働きを抑えることを目的として添加されるわけですが、それによって食品の保存期間は驚くほど延びます。しかし、それらの化学物質が体に与える悪影響も相当なものです。

 おでんだねとして使われる「ちくわ」や「つみれ」などの魚肉練り製品には、以前、過酸化水素が使われていた時期もありました。過酸化水素には強力な殺菌作用があり、その効果のために広く使われていたのです。身近なところでは、この過酸化水素の3%水溶液が「オキシドール」または「オキシフル」として、傷などの消毒のために使われています。

 しかしこの過酸化水素には、同時に発がん性もあることがわかり、現在は使用禁止となっています。ただし、例外として「かずのこ」の加工には、漂白剤として使うことが認可されていますが、加工助剤という扱いなので表示は免除されているのです。お正月に、お節料理の一品目としてかずのこを召し上がる方が多いと思いますが、少量にしておいたほうがいいかもしれません。ちなみに、数少ないですが、無漂白のかずのこもあるので、気になる方は、それを選ぶといいでしょう。

「保存料不使用」でも化学物質含有のケースも

 さて、おでんだねに話を戻しますが、最近は消費者の意識も高まってきて、保存料が入っていない魚肉練り製品を求める方も増えたため、保存料を使っていない製品も販売されています。しかし、「これなら安心」と飛びつかないでください。というのは、このような製品は、確かに保存料は使っていないのですが、それに類する化学物質は入っていることもあります。

 たとえば、魚肉練り製品の成分表示にある、「調味料(アミノ酸等)」の中には、グルタミン酸ナトリウムのほかにグリシンやDL-アラニンなどがあります。しかし、これも一括表示でよいため、一つひとつの化学物質は表示されていません。このグリシンは、さまざまな加工食品に使われているため、気づかずに過剰摂取している危険性があります。グリシンはアミノ酸の一種で、人間の体内にも存在しますが、調味料として使われるものは化学合成されたもので、安全性が確立されているとは言い切れません。ましてや、過剰摂取、複合摂取となると心配です。DL-アラニンも同様にアミノ酸の一種で、比較的安全であると評価されてはいますが、調味料として使われる場合、使用量に制限がかけられていないので、やはり過剰摂取、複合摂取に関してまったく問題がないとは言えません。

 アミノ酸は私たちの体内で、あるバランスをもって存在するところに意味があります。上記のように食品に含まれる“化学合成されたアミノ酸”が、大量に体内に摂取された場合、体がどのような反応をするかは確かめられていません。そして、ほかの食品添加物、化学物質と体内で複合した場合にどうなるかということについても、確認できません。

 ではなぜ、グリシンやDL-アラニンが調味料として使われているのでしょうか。それは、これらの物質を使うと明らかに日持ち効果があることがわかっているからです。要するに、保存料として使っているのではないが、保存料に類する効果があるということです。だから、「保存料不使用」といえるわけです。でも、それは単純に安心材料とはならないということを知っておいていただきたいと思います。

 筆者は、自ら主宰する一般社団法人 日本オーガニックレストラン協会(JORA)の講座のなかで、イワシのつみれのつくり方を伝授していますが、つみれはもちろんアジでつくってもいいし、ほかのお魚でもおいしくつくれます。今年は、魚肉練り製品も自分で手づくりして、おいしいおでんを食べようと考えています。

 おでんをつくるとき、皆さんは、何のだしでつくりますか。「昆布とかつお」というのが一般的でしょうが、筆者は「するめ」を使います。昆布とするめです。これは本当にうまいです。絶品のおでんができますので、ぜひ一度、お試しください。筆者がおでんをつくった日だけ、“えらく寒い日”になることを願っております。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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