数年前からブームになっている「週末農業」。平日は都会で働き、週末になると郊外で農作業を楽しむというスタイルで、忙しい中でも植物や土を触り、日光を浴びてリフレッシュできるという。何かとストレスを溜めてしまいがちな現代社会のビジネスパーソンに向いている趣味といえるが、自宅の庭やベランダで小さな家庭菜園をするだけでも同様の効果は得られるだろう。
だが、ここで重要になるのがアイテム選び。どんな道具が必要なのか、また、どこで買うのが間違いないのか。ここを失敗すると、いらない道具や使えないアイテムを抱えることになり、かえってストレスが増えかねない。
そんな悲しい思いをしないために、今回はオークション・フリマサイトの「ヤフオク!」において、自宅の庭で家庭菜園を始めたい人が買うと後悔しかねないアイテムを5つ選んでみた。ぜひ、道具選びの参考にしてほしい(各種情報は調査時点)。
野菜の種
家庭菜園初心者が最初に手を出しやすいのが、収穫後に食べる楽しみのある野菜だ。果物は肥料などの加減が難しく、気候にも大きく左右されてしまう。初めての家庭菜園であれば、短期間で育ち、栽培難易度の低い野菜からスタートするのが良いだろう。何を育てるかは個々人の好みで良いが、もし「野菜の種」をヤフオクで買おうと考えている人がいたら、ちょっと待っていただきたい。
フリマサイトは、あくまで素人が販売を行う場。「フリマサイトで買った苗を植えて育ててみたら、言われていたものとは違う野菜が実った」という珍事件は意外と多い。苗ならまだしも、種の状態で「違う野菜の種だ」と判断するのは、これから家庭菜園を始める人には難しいだろう。手間暇かけて育てた野菜が目当ての野菜と違った、なんていう悲惨な事態に陥らないためにも、種は専門店で購入するのが無難だ。
ホース
畑の水やりに欠かせないアイテムが「ホース」だが、ヤフオクで買うべきではない理由が2つある。1つは「ホース」と検索すると、オークションと定額商品をあわせて、全部で41万件近い商品がヒットしてしまうからだ。圧倒的な商品数はヤフオクの強みだが、ここまで膨大な量の「ホース」が出てくるとなると、さすがに何が自分にとってベストなのかわからず、探しにくい。
そして、もう1つの理由が、中古のホースは劣化が激しい恐れがある点だ。「未使用品なら大丈夫」と思うかもしれないが、ぐるぐる巻きの状態で倉庫にしまい込まれたホースは、たとえ一度も使ったことがなくとも経年劣化は免れない。水漏れの可能性などを考えると、中古のホースを買うのはいささかリスキーであろう。
殺鼠剤
農業をする人々が忌み嫌う生き物といえば、害虫や害獣といった田畑を荒らす存在だ。収穫前の作物が狙われないために、虫やネズミ、カラスといった天敵を退治するグッズを揃えたいと考える人もいるだろう。だが、都内の自宅の庭で家庭菜園をするくらいなら、たとえば「殺鼠剤」を置いてネズミ駆除をするのは、少しやりすぎかもしれない。
対策として過剰すぎるという以外にも、殺鼠剤の購入を推奨しないわけがある。素人が扱うには危険すぎるからだ。殺鼠剤の成分には、水と混ぜると有毒ガスを発するものが含まれている。万が一にも有毒ガスを発生させてしまえば、大切に育てた作物をダメにするだけではなく、人体にも悪影響を及ぼしかねない。殺鼠剤を含む殺虫剤や農薬には、安易に手を出さないことをおすすめする。
ガーデンオブジェ
野菜を育てたり花を植えたりしている家の庭には、往々にして「ガーデンオブジェ」が置いてある。とんがり帽子を被った小人のオブジェが置かれた庭を目にした経験がある人は多いだろう。「家庭菜園やガーデニング=ガーデンオブジェ」という認識の人も多く、「せっかくなら1つ置きたいな」と考え、あれこれ見てみるのも楽しいものだ。
しかし、冷静に考えるとガーデンオブジェは「それっぽい空間」を演出するだけの小道具なので、なくてもまるで困らない。それに、ヤフオクに出品されているオブジェはどれもアンティーク風で、わりと高額である。あってもなくても作物には影響を及ぼさない高価な置物より、もっと先に買い揃えるべき器具が山ほどあるはずだ。
枕木
自宅の庭に畑を作ろうとするとき、どこからどこまでが畑のスペースかをわかりやすくするために、「枕木」で囲いを作った方が良いという意見を聞いたことがあるだろう。枕木とは、本来は鉄道のレールを支えるために敷く木材だが、オークションなどでは家庭菜園用として出品されていることが多い。
だが、枕木は種類によってはシロアリが湧きやすくなり、きちんと防蟻処理がされていないとシロアリの餌食となってしまう。もちろん木材なので、風雨にさらされ続ければ徐々に腐食していくが、こちらも防腐処理がされていれば問題ない。しかし、ヤフオクではこうした処理の有無が記載されていないものもあり、判断が難しいのだ。材質や防腐処理の有無など、細かい部分まで判別が難しい場合は、オークションで手に入れない方がいいだろう。
ヤフオクは出品数が多く、掘り出し物が多いサイトだ。だが、「こんな商品もあるんだ!」という見つけたときの興奮に流されず、「今、本当にそのアイテムが必要なのか」「本当にヤフオクで買うべきなのか」を購入前にきちんと考えたい。
(文=清談社)