仏教は、今から約2500年前に釈迦によって説かれた教えだ。
その教えの根本となっているのは、いかにして生きていく上での苦しみから解放されるかということ。人間関係の悩みや不安、生きることの意味など、人生の悩みを解決するヒントとなるのが、仏教の教えだ。
では、一体どんな教えがあるのか。
『悩むことは生きること 大人のための仏教塾』(幻冬舎刊)では、釈迦の教えを日々実践している臨済宗国泰寺派全生庵住職の平井正修氏が、仏教の智慧や歴史について、基本的だが本質的な95の疑問に答えながら紹介している。
「仏さま」とはどんな存在?
そもそも「仏さま」とはどんな存在なのだろうか。それは、真理を悟った人、覚者という意味だ。
さらに「仏さま」は仏教の開祖であるお釈迦さまのことも指している。仏教では、生きとし行けるものは全て仏さまと違わぬ心が宿っていると考える。お釈迦さまの教えを守り、精進することで、誰もが仏さまになれる可能性があるということだ。
そのため仏さまは、キリスト教やイスラム教で考えられているような神さまとは別の存在だ。キリスト教やイスラム教の神さまは、この世界の全てを創造した唯一無二の存在なので、人が神さまになることはできない。
他人を羨ましいと思ってしまう自分への処方箋
では、仏教の教えによって、どのように悩みを解決するヒントを得ることができるのか。その一つをピックアップしよう。
たとえば仕事でもプライベートでも、他人を見て羨ましくなってしまうことがある。そう思ってしまうのは自分と人を比べているからであり、比べなければそう思うこともないのだが、どうしても比べてしまうものだ。
そもそも、人間という存在はいろいろな意味で根っこにネガティブな感情を抱えている。だから、どんなに修行を重ねても、羨ましく思ったり、嫉妬をおぼえたりすることを完全になくすことはできない。
では、どうすればいいのか。大切なのは、その感情とどう向き合うかだ。もし、人を羨ましいと思ったら、自分もそうなるように努力すればいい。また、そうでなければ、羨ましいと思っても「だから、何」とその気持ちを振り払って、羨ましさを募らせないようにすればいいのだ。
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本書では「生きていることの価値」「死ぬのが怖いのはどうして?」といった根源的なものから「『因果応報』とは何?」「仏さまにはどんな力がある?」といったものまでさまざまな悩み・疑問に答えている。
長い歴史を刻み、人生の悩みや生きる意味などについて向き合い、そうした疑問について向き合うための智慧が仏教の教えにはある。仏教の智慧や歴史から、悩みを解決するために考えるヒントが得られるはずだ。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。