「こちらが話していることを夫がわかってくれない。イライラする」「困っていることがあるようだったので話を聞いて解決法を提案したら妻の機嫌が悪くなった」――。夫婦にはこんなコミュニケーション上のすれ違いが少なくない。どちらにも悪気はない。しかし、かみ合わない会話を繰り返すことのストレスは長い目で見ると夫婦関係を損ねてしまうことがある。
かみ合う会話とすれ違う会話
なぜ夫婦の会話はかみ合わないのか。『夫婦のトリセツ 決定版』(黒川伊保子著、講談社刊)ではこの疑問について、「2つの対話形式の食い違い」で起きると解説している。
人の対話形式は大別すると「問題解決型」と「共感型」の二つがある。たとえば「いろいろあって、もうやってられない。今日は早く帰る」という時、体を休めたい人(問題解決型)もいれば、心を癒されたい人(共感型)もいる。本書によると共感型同士の対話は以下のようになる。
A「あんなことがあって」
B「あ~、それ、ムカつくよねぇ」
A「ひどいと思わない?」
B「わかる。なにもかもうまく行かない日って、あるんだよね。今日は早く帰って、寝なよ」
対して、問題解決型同士の会話は
A「今日は帰るね。明日早出で挽回するわ」
B「了解。私はこれをやり終えてから帰るね」
A「何かあったら電話して。9時までなら出られるはず」
B「大丈夫、この工程に疑問はない。けど、9時までにこっちの進捗メールしとく」
A「サンキュー。お先」
ことのいきさつを語り、気持ちを共有する共感型と、結論とやるべきことを語る問題解決型。このように、同じ対話の型同士の会話は実にスムーズに進む。もちろん、どちらの型が良くて、どちらがダメということはない。どちらの型も相手のことを考え、尊重している。
なぜ夫婦の会話はすれ違うのか
ところが、共感型と問題解決型が話すと、急に会話がかみ合わなくなる。自分の気持ちを聞いてほしいだけなのに「こうすればよかったんだよ」と解決方法をアドバイスされても「あの人はわかってくれない」となるだけだし、何をすべきかという解さえ明らかであればいい人は、相手にエモーショナルな共感をされてもピンとこない。
そしてこれこそが世の中の夫婦の会話で起きていること。本書によると、多くは妻が「共感型」、夫が「問題解決型」の対話形式であることが多いが、時と場合によってはこれが逆転することもあるという。
ただ、このすれ違いを解消するのは、方法論的にはごくごく簡単である。自分の話は問題解決型で、他人の話は共感型で受ければいい。自分は結論から完結に話し、相手の話を聞くときは共感しながら聞けばいい。これが夫婦のすれ違いを解消するばかりでなく、対話の達人になる極意なのだ。
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夫婦はなぜすれ違い、なぜ互いに嫌気がさすのか。本書では男女の考え方の違いや対話の形式の違いなどに注目してこの根深いテーマを解きほぐしていく。夫が理解してくれないことが不満な妻も、妻の長ったらしい話を聞くのがかったるい夫も、本書からは夫婦間のストレスを軽減するヒントが得られるかもしれない。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。