判決を報じる8月31日付日経新聞。
しかし、いつのまにか「vs.サムスン」色が強くなっている。
「新しいiPhoneを構成する部品として、今までサムスン製品を使っていたものを他社製に切り替えた」
「アップル製のパーツをサムスンに供給しなかった」
というような話も流れている。
これらは、サムスンやアップル自身が発表したわけではない。過去にもiPadの液晶パネルはサムスン単独供給だという話がまことしやかに流れていたのに、実はシャープも供給していたことが後からわかったりしている例もある(http://ggsoku.com/2012/03/isuppli-lcd-new-ipad/)。内部パーツの詳細な供給具合を外から推し量ることは難しいが、そういう話が出てくるほどに、2社の対立が深刻なのは確かなようだ。
ビジネスパートナーと泥沼の争い
部品供給の話からもわかるように、両社はもともとビジネスパートナーだった。ところが、サムスンの一部製品があまりにもiPhoneに似ているということで、アップルがサムスンを訴えた。そして最初の提訴からわずか1週間ほどで、サムスンは報復するようにアップルが自社の特許を侵害しているとして提訴した。この後は、各国で互いが互いを訴える泥沼の争いとなっている。
特許というのは国ごとに取得するものなので、日本で取得すれば世界で通用するというものではない。そのため、ある特許を数カ国で保持している企業が、同じく数カ国でビジネスを展開する企業に特許侵害をされていると考えた時、各国で訴訟を行わなくてはならない。
だから、世界的なビジネスを展開している2社が争っている今、世界各国で多数の訴訟があるという状態は、それほどおかしいことではない。それでも話題になるのは、その泥沼ぶりがすごいからかもしれない。
権利関係を主張する訴訟では、利用料金を払うことを前提に和解というケースも少なくないのに、サムスンはアメリカやオーストラリア、EUなどで端末の販売停止や販売差し止めという判決を受けている。そしてその後、どちらが嘘をついただとか、資料に不備があっただとかいう話も出てきて、話題には事欠かない。
実は2012年春には、一度両社間で和解が成立しそうだという話もあった。しかし和解交渉の合意に達した後にサムスンがアップルを提訴したりしたこともあり、決裂した(http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0400M_U2A600C1000000/)。こういう流れは、他人事として見ればおもしろい。だから、話題になるという部分もあるのだろう。
訴訟の争点と判決のおもしろさを見守ろう