これにNTTドコモが追随したほか、10年にはソフトバンクモバイルが、当時の主力料金プラン「ホワイトプラン」を2年契約必須にしたことで、端末代だけでなく基本料にも2年契約が求められるようになっていった。
2年縛りのメリットとデメリット
2年縛りにはもちろんメリットもある。ユーザーが2年間、確実に料金を支払ってくれることから、それを前提として基本料や端末代が割り引かれるというのが、最大のメリットといえるだろう。
基本料も10年前は4000円近くかかる上、通話料も従量制であったのが、現在では通話定額がセットで2700円と、大幅に下がっている。また定価では8万円以上する人気の「iPhone 6」も、キャリア経由であればとても安価に購入できる。こうしたメリットを享受できるのも、2年縛りによってキャリアが安定した売り上げを得られるからこそなのだ。
だが一方で、数多くの指摘がなされている通り、2年縛りがユーザーに与える問題点やデメリットも決して少なくない。中でも特に問題視されているのは、解約がしづらい上に解除料が期間を問わず高額だということだ。
2年契約が必須となる料金プランは基本的に2年間解約することができず、どうしても解約したい場合は9500円の解除料を支払う必要がある。この解除料は契約直後であっても、1年11ヵ月が経過した後であっても変化しないため、契約中の解除が非常にしづらいものとなっている。一方無料で解約するには、1カ月間設けられた更新月内に解約しなければならない上、このタイミングを1日でも逃してしまうと、再び解約に9500円の解除料が求められてしまうのだ。
加えて、各キャリアとも2年契約が常態化したことで、2年縛りがない場合の料金を積極的に提示することが少なくなっている。そのため契約者が、実質的に2年縛りが必要なプランを選ばざるを得ない状態になっているのも事実であろう。そうしたことから、解除時期を知らずに解約しようとして高額な解除料が請求されるなど、2年縛りをめぐり多くのトラブルが発生していたようだ。
こうしたトラブルの多さに加え、2年縛りの影響でユーザーのキャリア間移動が進まず、解約率が1%以下と非常に低い水準で推移するなど、主要3キャリアが協調的寡占に陥っていることへの危惧もあり、総務省は各キャリアに2年縛りの改善を求める方針を打ち出したといえよう。
2年縛りは緩和に向かうのか
総務省が求めた通話料と端末代の分離が実質的に2年縛りの常態化を招き、再びキャリアに改善を要求する事態となっているのには皮肉さを感じさせるが、今回の総務省の動きによって、キャリアの2年縛りに対する対応、そして携帯電話市場はどのように変化していくと考えられるだろうか。