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キャリアの収入は基本的に、毎月の通信料とユーザー数によって変化してくる。それゆえ従来、1万6000円で提供していた20GBのデータ定額サービスを6000円に下げることは、ソフトバンクにとっては一見デメリットであるようにみえる。しかしながら、そもそも1万6000円を支払って20GBの容量を最初から契約している人は、決して多くはない。
一方で、ソフトバンクは高速通信容量が5GBの「データ定額パック・標準(5)」を主力として販売してきたことから、このサービスの契約者は非常に多いと考えられる。そこでソフトバンクは、従来の料金で20GBのサービスを提供し続けるよりも、数が多い5GBのサービスを契約している人に対してより付加価値が高く料金が近いサービスを提供し、そちらに移行してもらうことで1人当たりの料金を上げるほうがメリットがあると判断。トータルでの売り上げを拡大するべく、ギガモンスターの提供に至ったといえるだろう。
「6000円で20GB」の実現には周到な準備が
その際、問題となってくるのは上位プランの付加価値となる通信容量だ。容量にあまり差がなければメリットが少なく移行が進まないだろうし、容量が大きすぎれば、今度はユーザーが通信容量を使い過ぎてインフラに負担がかかり、通信速度が低下して満足度が下がりかねない。それゆえソフトバンクは、事前にユーザーの利用動向を調査した上で、容量とインフラにかかる負担とのバランスを考慮し、20GBという現在の容量をはじき出したと考えられる。
そうした調査の場のひとつとみられるのが、今年1月より提供されていた「ギガ学割」である。ギガ学割は、25歳以下のユーザーに対して36カ月間、6GBをプレゼントするというキャンペーン施策だが、ギガ学割のターゲットはスマートフォンのヘビーユーザーが多い、10~20代の若い世代である。そうしたヘビーユーザーに対して高速通信容量を多く提供することにより、インフラにどの程度負担がかかるのかを見極めた上で、20GBでも問題ないと判断したと推測される。
ソフトバンクはユーザー動向の見極めだけでなく、インフラ側で通信トラフィック増大に向けた対処も進めていた。それが「Massive MIMO」だ。
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