(「Thinkstock」より)
「ネット架空請求詐欺」とは、文字通りネットを利用して、不特定多数のネット利用者に対し、身に覚えのない料金を請求するものだ。例えばワンクリック詐欺。手口のひとつとして、まずネット利用者にアダルト動画が無料で見られるといったニセのメールが送られてくる。受け取った被害者がメールに書かれているURLをたどると、不正なウェブサイトにアクセスしてしまう。そこで、「入口」「ENTER」などと書かれたボタン(もしくはリンク)をクリックすると、いきなり料金請求画面が表示される。パニックになった被害者が指定口座にお金を振り込めば、犯人の狙い通りというわけだ。
きっかけはメールに限らない。アダルト系や出会い系などのウェブサイトを見て回っているうちに、いつの間にか不正なウェブサイトに迷い込み、料金請求画面が表示されることもある。
そのほかにも、「ワンクリウエア(ワンクリックウエア)」という手口も存在する。この手口にかかると、不正なウェブサイトにアクセスした際、パソコンのブラウザの脆弱性などを突いてソフトウエア(ワンクリウエア)が勝手にインストールされてしまう。ワンクリウエアが一度インストールされると、以後、料金請求の警告メッセージがずっと画面に表示されるようになる。メッセージを消そうと思っても消せない。しつこく料金を請求してくるのである。過去には被害額が2800万円という大規模なワンクリック詐欺事件も摘発されている。
いままでは、こうした手口ではパソコンや携帯電話(ガラケー)がターゲットになっていたが、最近はスマホを狙うワンクリック詐欺が増えてきている。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のレポートによれば、今年になって、Androidスマホを狙うワンクリウエア(アプリ型)が登場した。
具体的な手口はこうだ。不正なウェブサイトにアクセスしてしまった被害者が、アダルト系の動画を見ようとすると年齢認証を求められる。そこで、「18歳以上」と書かれたボタンを押すと、「再生専用アプリ」のインストールを促される。この「再生専用アプリ」が実はワンクリウエアなのだが、被害者が知らずにインストールしてしまうと、以後、料金請求メッセージがずっと表示されることになる。