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「漫画村」は、このアドフラウドに手を出したとされている。具体的には、「漫画村」の閲覧者にわからないかたちで同時に別サイトが立ち上がり、そのなかに“裏広告”として掲載されていたという手法だ。広告は「閲覧された」とカウントされるが実際は誰も見ていないわけで、広告主としてはたまったものではない。
中川氏は、これによって「ネット広告の信頼が大きく損なわれてしまう危険性がある」と危惧する。
「10年ほど前まで、ネット広告は『閲覧数やCTR(クリック率)の数字がわかるから公明正大』と評価されていました。当時はまだ、テレビ・新聞・雑誌といった既存メディアが出稿先のメインで、新興メディアのネットは広告効果がわかりやすいという点を売りにしていました。しかし、『漫画村』で横行していたアドフラウドのような手法が蔓延すると、その評価が地に堕ちてしまいかねない」(同)
加えて、現在のネット広告は「バブル状態」(同)にあり、今の勢いはいつまでも続かないという。
「今、ネット広告は不当なほど評価されすぎていて、単価が高くなりすぎています。もう少したったら、広告主が『本当はあまり効果がないんじゃないか』と気付き始めるでしょう。実際、ネットの広告をいちいちクリックする人なんて、閲覧者全体の0コンマ以下の割合しかいないんです」(同)
そうなれば広告料の引き下げが始まり、特に不正に収益を上げているような海賊版サイトは淘汰が進むというわけだ。
「出稿がなくなることで『漫画村』のような海賊版サイトは兵糧攻めに遭うようなかたちになり、いずれ消えていくでしょう。結果的に自滅することになるのでは……」(同)
「漫画村」をはじめとする海賊版サイトは出版社や作者の権利を侵害しただけではなく、ネットサービス全体の信頼や広告価値をも大きく損ねたといえる。今後の動向が注目されるところだ。
(文=布施翔悟/清談社)
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