「一番の狙いは、『自民党政権であれば携帯料金が下がります』という国民へのアピールではないでしょうか。菅氏が所属する自民党は、来夏に参議院選挙を控えた大事な時期にあります。彼らは消費税増税という、国民からは支持されにくいマニフェストを掲げているわけですから、携帯料金値下げによって支持率を集めたかったのだと思います。
また、政府による携帯料金への言及は今に始まったことではなく、2015年にも安倍首相が『国民の家計において、携帯料金の占める割合が高すぎる』と発言しています。携帯の周波数免許を企業に交付している政府からしてみたら、電波は国民の資産であるにもかかわらず、一部企業がそれで過度に儲けるのはいかがなものか、という怒りもあるのかもしれません。結局、安倍首相の発言から3年経っても、携帯料金の値下げはほとんどなされていないわけですから、今回『4割』という具体的な数字を出すことによって、大手3キャリアにプレッシャーをかけているのではないでしょうか」(同)
“4割値下げ”ではなく“4割以上おトクなプラン”の新設が現実的
政府の思惑はともあれ、ユーザーからしてみたら安いに越したことはない。実際に大手3キャリアが値下げに動くという可能性はあるのだろうか。
「3社とも株式会社なので、政府に言われたから値下げします、なんて簡単にはできません。そもそも3キャリア自身だって収入を落としたくはないでしょうから、今の携帯料金がそのまま4割値下げされる、というのは考えづらいです。考えられる方向性としては、料金体系や通信量は現状を維持しつつも、そこに動画やSNSの見放題といった付加価値を乗せていくことで、4割値下げよりもおトク度の高いプランを打ち出していくのではないでしょうか。
また、実際に値下げする場合には、端末代金は一切値下げしないで、通信料金を値下げしていくかたちになると考えられます。実際、ソフトバンクはすでにこのようなプランを導入しているのですが、端末代金と通信料金が完全に分離されるため、料金体系が非常にわかりやすくなっています。やはり現状の複雑な料金プランでは、全貌がよく把握できていないという方も多いかと思いますので、値下げされるとしたら、料金の透明性もメリットになり得ますね」(同)
ただ、料金値下げとなれば当然デメリットも出てくるだろうと石川氏は続ける。