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レガシーシステムを捨てない企業は滅びる…「2025年の崖」問題、年12兆円の経済損失

文=佃均/フリーライター
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 企業が特定ベンダーに囲い込まれる「ベンダー・ロックイン」もDXの阻害要因だし、千差万別のデータ構造(例えば氏名の表記で苗字と名前の間に1コマ空けるか空けないか、「株式会社」と書くか「(株)」と書くか等)、さらには21世紀型技術を生かせない組織や業務プロセスも阻害要因だろう。脱レガシーないしレガシー・モダナイゼーションの手法に「銀の弾丸」(決定的な方程式)はないので、企業がそれぞれの立ち位置と状況に応じて、それぞれのやり方で進めていくしかない。

 ただ、ITユーザーである企業は、多数のIT技術者を抱えていない。経営者が「ITはわからん」と毛嫌いし、「よきにはからえ」で済ませてしまう。一方、IT企業がベンダー・ロックインを解除される案件を喜んで受注するとは思えない。また、IT企業に勤務するIT技術者にとってもスキルアップにつながらないので、好んでやるとは考えにくい。

 そこで経産省の施策は、ユーザー側の企業がDX準備のための予算を増やすよう誘導することに絞られる。オリンピック後の不況のなか、仕事になるなら受託系IT企業はなんでも受注するし、ほかに仕事がなければIT技術者も納得する(というか諦める)。

 経産省の一部で「DX促進法のような法律をつくる」「レガシー度判定制度を創設する」などの案が検討されているという情報もあるが、そのような法制度は国や地方公共団体にこそ適用すべきだろう。民間に広げるとしても社会的コンセンサスが前提となるので、運輸・航空、物流、電力・ガスなどライフライン、石油化学、医療、金融といった重要インフラ系が中心となる。

見逃されている2025年の数値目標

 
 以上が「DXレポート」の解説だが、筆者が目を留めたのは、レポートに掲げられた以下の数値目標だ。

(1)産業界のIT予算は2017年比1.5倍
(2)サービス追加にかかる期間は数カ月から数日へ(短縮)
(3)IT人材分布は「ユーザー5:ベンダー5」
(4)IT人材の平均年収は1200万円超
(5)IT産業の年平均成長率6%

「DX阻害要因を放置すれば12兆円減/年」「適正に対応すれば2030年のGDP130兆円押し上げ」を加えれば7項目となる。想定しているのは「2025年の崖」の先、2030年までの間ということになる。

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