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石徹白未亜「ネット依存社会の実態」【アプリ四季報 2019年1~3月】

ピンタレスト、30~40代女性ユーザー急増の理由…インスタ等と真逆の思想

構成=石徹白未亜/ライター

 ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。

 本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。

 今回も、同社のコンサルティング本部長の岡田雄伸氏、同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に、2019年第1四半期(1~3月)を中心にアプリの動向を聞いた。

ビッグ3とは違う思想で支持されるSNS

――毎回、各期を象徴するアプリについてうかがっていますが、今期(19年1~3月)を象徴するアプリはなんでしょうか?

日影耕造氏(以下、日影) 今期は“爆誕”したアプリはないのですが、4月18日に米国で上場したSNSの「Pinterest(ピンタレスト)」が、日本国内でも今年2月からの伸びが顕著です。下図が、ピンタレストのApp ApeのMAU(Monthly Active User:月間アクティブユーザー数。App Apeにおいては月に1回以上アプリにアクセスのあったユーザー)推移です。

ピンタレスト、30~40代女性ユーザー急増の理由…インスタ等と真逆の思想の画像2

 ピンタレストは、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムの「SNSビッグ3」と比べると実数規模はまだまだ小さいので、隠れがちにはなるのですが。

――ピンタレストの日本法人は13年設立と、けっこう古いサービスですよね。特徴はなんでしょうか。

日影 ピンタレストには、ビッグ3にはない思想があるんです。ビッグ3は「ここに行ってきた」とか「これを食べた」といった過去の体験を投稿し、それに対し共感してもらうのが一般的な使い方ですよね。一方、ピンタレストは自分が未来になりたい姿を想像するために使います。

 ピンタレストは気に入った写真をコルクボードに刺していくようなイメージで、ピンタレスト上にある気に入った画像を自分の「ボード」に「ピン」していきます。「今年買いたい服」というボードをつくって、そこに洋服の画像を「ピン」していく形ですね。ピンやボードは、リツイートのようにほかの人と共有することもできます。

――ピンタレストでは自分で画像を投稿することもできますが、すでに多くの画像が投稿されており、自分で画像を一切投稿せず、人の画像をピンしたり、センスのいい人のピンやボードを見て参考にしたり、という使い方をしている人もいるでしょうね。

日影 その人がすでに体験したことではなく、「これから体験しようと思っていることや自分の欲望のイメージ」を人と共有できるのが、ビッグ3と違う点ですね。ピンタレストは未来志向なんです。

30~40代女性に人気のピンタレスト

日影 また、ピンタレストは未来志向である一方で、自分がピンしておいた画像をボードで見られるため、過去に遡るのも楽なんです。

――確かに、ビッグ3のSNSは基本「投稿は流れていく」という思想で、過去のお気に入りを見ようとしても遡れないこともけっこうありますよね。見たかった過去のお気に入りを見失っても仕方ない、そういう文化だと。

日影 ビッグ3は「そのときの共感」がメインですが、ピンタレストは「ピン留めしておいて、再利用」なんです。ここからビジネスチャンスも生まれてくるのではないかと思います。企業としては「ピン留め」されやすい商品やサービスの画像の素材をつくれれば、ピンタレストに強い会社になれるでしょうね。すでにH.I.S.や楽天レシピなど、ピンタレスト公式アカウントを持っている企業もあります。

――「どんどん流れていってしまう」が前提のビッグ3のSNSより再利用され続ける可能性もある分、企業としても力の入れがいがあるでしょうね。でも、なぜ今年になってピンタレストが伸びているのでしょうか。

日影 ピンタレストの基本的な使われ方は変わっていません。ですが、「未来志向のSNS」は、ビッグ3に見られるような「過去志向のSNS」が広まらないと見えてこない空白領域です。逆に言えば、ビッグ3の利用が広まり周知されたことで、ようやくその空白が理解され、ピンタレストならではの便利さが周知されてきたのかなとも思います。

――ピンタレストのユーザーの性年代比率はいかがでしょうか。ヘアスタイル、服装、メイクなどファッション系で使われている用途が多いように見え、女性比率が高そうですが……?

日影 App Apeにおけるピンタレストの性年代分布は、こちらの通りです。全体を見ても女性利用は男性の倍ほどあり、世代別に見ると30、40代女性が特に多いですね。

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TikTokとピンタレストのユーザーの違い

 以前の記事で「TikTok」の利用動向について調べた際に、投稿される動画のノリから「若者向けアプリ」の雰囲気があるわりに40代男性の利用が多い、と判明したことがある。こちらが、そのときのTikTokユーザー数の図だ。

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 ここから可能性として読み取れる「10代のかわいい女子の動画を見たい40代男性のニーズの高さ」には、怖いものもある。

 そして、ここでのTikTokとピンタレストの性年代利用比率を比較する限りだが、「女性人気が高くても、10代女性には不人気」なら「40代男性」の興味をあまり引かない傾向もあるのかもしれない(動画を投稿して共感や評価をもらうというTikTokと、自分の関心のある画像を集めるピンタレストでは、そもそもの用途が違うという点もあるが)。

 後編も岡田氏、日影氏に19年1~3月を象徴するアプリと、新元号の「令和」が発表された19年4月1日のアプリ利用動向についてうかがう。
(構成=石徹白未亜/ライター)

石徹白未亜/ライター

石徹白未亜/ライター

ライター。得意分野はネット依存・同人文化(二次創作)・ファッション。ネット依存では自身の体験をもとに書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)を執筆、NHK『ハートネットTV』、フジテレビ『バイキング』、朝日新聞、週刊文春等メディア出演多数。個人に向けたスタイリストとしても活動しており、著書に男性スーツ本『できる男になりたいなら、鏡を見ることから始めなさい。』(CCCメディアハウス)。ユニ・チャーム株式会社でのスーツ着こなしセミナーなど、ファッション研修も多くの実績あり。おうち大好きインドア派。同人誌と串揚げとしめさばとビールで生きてます。
●「主なプロデュース作品
『何になりたいかわからないけど就活を始めるあなたへ まず自己分析をやめるとうまくいく』辻井啓作(高陵社書店)
『自分のイヤなところは直る! 』牧野秀美(東邦出版)
『英語がサクッと口から出る 英語の「筋トレ」4センテンス繰り返しCDドリル 初級編 』渡部泰子(主婦の友社)

Twitter:@zPvDKtu9XhnyIvl

『節ネット、はじめました。 「黒ネット」「白ネット」をやっつけて、時間とお金を取り戻す』 時間がない! お金がない! 余裕もない!――すべての元凶はネットかもしれません。 amazon_associate_logo.jpg
『できる男になりたいなら、鏡を見ることから始めなさい。 会話術を磨く前に知っておきたい、ビジネスマンのスーツ術』 「使えそうにないな」という烙印をおされるのも、「なんだかできそうな奴だ」と好印象を与えられるのも、すべてはスーツ次第! amazon_associate_logo.jpg

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