60代以上が意外とTikTokを使っている…「睡眠と学校以外はスマホ漬け」の10代
ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。
本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。
同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に、最新のアプリ利用動向について聞いた。
10代は1日約2時間、YouTubeを見ている
――毎回こちらの連載では、前四半期(今回の場合2022年1~3月)を象徴するアプリを紹介いただいていました。
日影耕造氏(以下、日影) 今回は全体的なアプリの動きにあまり変化がなかったため、10代、30代、60代以上の3世代別に、LINE、Instagram、Twitter、YouTube、TikTokの5つの主要なSNS、動画アプリを1日にどのくらい見ているか、App Apeで平均利用時間を調べてみました。以下が、その結果です。
【10代の1日平均利用時間】
・5アプリ合計で約5時間(※参考値。1人のユーザーが5アプリすべて持っているとは限らないため)
・見ている時間が多い順にYouTube/TikTok/LINE/Twitter/Instagram
【30代の1日平均利用時間】
・5アプリ合計で約3時間(※参考値。1人のユーザーが5アプリすべて持っているとは限らないため)
・見ている時間が多い順にYouTube/LINE/TikTok/Twitter/Instagram(10代と比べてLINEとTikTokの順番が逆に)
・YouTubeとInstagram以外の3アプリの利用時間はどれもほぼ30分
【60代以上の1日平均利用時間】
・5アプリ合計で約2時間(※参考値。1人のユーザーが5アプリすべて持っているとは限らないため)
・見ている時間が多い順にYouTube/LINE/TikTok/Twitter/Instagram(30代と同じ順番に)
・特に若年層の印象が強いTikTokが5アプリ中3位と善戦
「睡眠と学校以外はほぼスマホ」の10代
日影 この表ですが、当然、全ユーザーが、こちらで紹介した5つのアプリを自身のスマートフォンにすべてインストールしているわけではない、というのは注意が必要です。
――60代なら、TikTokはそもそもインストールしていない人も多いでしょうね。
日影 はい。そして、こちらの表は「この世代の各アプリの平均利用時間」ではなく、「この世代で、このアプリをインストールしているユーザーの平均利用時間」になります。さらに、アプリによってインストールされている割合は異なりますので、5アプリの合計時間は、あくまで参考値として見てください。
それを踏まえてですが、合計時間を見ると、10代は約5時間、30代は約3時間、60代以上は約2時間となりました。
――10代は、この5アプリを「フルコンプ」している割合は高そうですね。一方、使いたくてたまらないが、親からフィルタリングで制限されているケースもありそうですが。
個々で見ると、YouTubeだけで1日約2時間ですね。YouTubeは次から次にコンテンツが出てきますし、人気ジャンルのゲーム実況は「実況」であることから長くなりがちですよね。好きなアイドルのMVを見たり、YouTuberも人気な人ほど更新も頻繁ですから、それも見て……としたら、確かにそのくらいにはなるだろうな、という印象です。
日影 10代の場合、学校のない休日は利用時間が大幅に増えて、上記のグラフはそれらも含めた平均だということを考慮する必要がありますが、睡眠が7時間、学校で授業を受けている時間が6時間とすると、1日のそれ以外の時間は11時間で、そのうち半分弱の5時間はスマートフォンを見ていることになります。さらに、これにゲームの時間も加わりますから。固有のゲームアプリを入れだすとキリがないため、今回ゲームは外しています。
――そうなると、余暇時間のほとんどは「SNSや動画やゲームでスマホを見ている」感じなのでしょうね。また、10代の話を聞くとInstagramの存在感が増してきていると思うことが多く、Twitterに迫っているのかなという印象があったのですが、10代の2021年からの利用時間推移を見ると「TwitterとInstagramではTwitterが頭一つ上」という状況はずっと変わらないですね。なお、Instagramは5アプリの中ではどの世代でも利用時間が一番短いですね。
意外にTikTokを利用している60代以上
日影 次に60代以上を見てみましょう。5アプリの1日の平均利用時間は約2時間です。次に紹介する30代が約3時間なので、60代以上と30代の利用時間を合計すると、10代の利用時間(約5時間)とほぼ一致します。ただ、特に60代ですと、先ほどお話したように、この5アプリをすべてインストールしているとは限りませんが。
――――自分のスマートフォンに該当アプリをインストールしている人が前提、のデータではありますが、一方でアプリをインストールしている60代以上は、案外活用しているとも言える結果ですね。YouTubeの平均が約45分というのも、案外見ていますね。老眼もあるだろうし、大きい画面の方がいいのでは……と思わせる意外な結果です。
あと、TikTokがInstagramやTwitterよりも利用時間が多いのも意外でした。60代のアプリ利用動向の2021年からの推移を見ても、他の4アプリがおおむね横ばいの中、TikTokは2021年からゆるやかながら右肩上がりになっていますね。
最も「InstagramよりTwitter派」の30代
日影 最後に、30代の5アプリの1日の平均利用時間は約3時間となりました。
――TwitterとInstagramの関係に着目すると、10代は「Twitterが頭一つリード」、60代以上は「どちらもほぼ一緒」な状況でしたが、30代は「Twitterの利用時間がInstagramの約2倍」の傾向が2021年から続いており、最も「InstagramよりTwitter派」であることがわかりますね。
また、今回の調査期間である2021年1月から2022年4月にかけては、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が発令された時期もあったり、一方でそれらの縛りがなく人々の外出が活発な時期もあったりと、さまざまでした。しかし、この結果を見ると、そういった社会情勢に伴う利用時間の変化もあまりなく、これらの5アプリが日常にしっかり根付いているともいえますね。
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後編では、若者のYouTube利用の実態について、引き続き日影氏に話を聞く。
(構成=石徹白未亜/ライター)
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