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何も進まないという現状
諸外国の状況をみると、韓国、ドイツ、イギリス、アメリカなどはまだ候補地が決まっていない。アメリカはユッカマウンテンに一旦決まったが、オバマ政権になり白紙撤回された。ドイツや最大の原発国であるフランスはほぼ候補地が絞り込まれているといった状況だ。他方、フィンランド、スウェーデンは最終処分地をそれぞれオルキルオト、エストハンマルに決定し、20年、24年に操業を予定している。
日本の最終処分場候補地の決定は、先延ばしできない喫緊の問題だ。現在、国主催の自治体連絡会が非公開で行われている。今後、火山や断層破砕帯から離れた場所を選定し、岩盤、地層の強度、地下水の流動などを勘案して、適性が高いと考えられるいくつかの科学的有望地を国が提示するとともに、国が関係地方自治体に申し入れを行う予定だ。しかし、地域に反対されれば何も進まないというのが現状であり、地域住民が社会に貢献しているという意識を持てるような施策が必要だ。
諸外国の用地選定の手法を学ぶとともに、地域の主体的な合意形成に向け、地層処分の必要性、安全性などについて住民が納得できるようなかたちでしっかりと説明していくことが重要だ。それとともに、国が総合的かつ適切な支援措置を検討し、地域の持続的発展のための政策を講じていくべきだ。
(文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授)
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