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1986年…林野庁が森林の涵養機能を確保するため、10年間の限定措置として「水源税」の導入を要望
87年…林野庁と建設省が「森林・河川緊急整備税」の導入を要望
91年…全国市町村議会議員が「森林交付税創設促進全国議員連盟」を結成し、「森林交付税」導入運動を展開
03年…森林交付税創設促進全国議員連盟が方針転換し、「全国森林環境・水源税」の創設を求めて「全国森林環境・水源税創設促進連盟」に改称
06年…全国森林環境・水源税から「水源」が除かれ、「全国森林環境税」の創設を目指すことになり、全国森林環境・水源税創設促進連盟も「全国森林環境税創設促進連盟」に改称
しかし、これらの運動は実ることなく、いまだに税の創設は実現していない。それは、いくつかの課題があるためだ。
第一に、「税を負担しても、受益が実感できない」ことが挙げられる。都市部の住民は森林整備による受益についての実感が薄いケースが多く、税負担に対する抵抗が強い。
第二に、税の用途のひとつである森林整備が、林業など特定の業種に対する補助金のような性質を持ち、「特定の業種だけにメリットがあるのではないか」という疑問があることだ。
第三に、国による新税と、すでに地方自治体が導入している森林環境税との棲み分けや区分をどうするのか、という点だ。特に、二重課税に対しては強い抵抗がある。このため、国レベルでの森林環境税の導入は、不透明な状況だ。
しかし、地球温暖化や最近の異常気象、それに伴う自然災害など、自然環境の保護は重要な課題となっている。森林環境税の導入については、森林保全の重要性と税負担の必要性を、国民が十分に納得できるように説明を尽くす必要があるだろう。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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