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だが、生活できない。フィリピンで暮らしていけるだけの十分な仕事がないので、なんでもやる人が出てくる。日本への違法な入国斡旋、偽造パスポート、クレジットカード詐欺、偽ブランド品の販売など、この地で問題となる取引に手を染める日本人は多い。セブ島で日本人観光客のクレジットカードをスキミングし高額で売買するのは、たいてい日本人ブローカーである以上、フィリピンの日本人社会で新参者の評価が高まらないのは当たり前だろう。
JICCの日本人集団逮捕も、すぐに釈放したとはいえ問題は必ず続く。「フィリピンは貧乏で若い人の英語を日本に輸出し、日本はフィリピンに犯罪者を送ってくる」という冗談さえ言われることがあるが、両国の関係を考えると現実になってほしくない話である。
最後に、フィリピン人の日本人観についてお伝えしたい。筆者は日本にも中国にもアメリカにも滞在が長かった分、その比較として親日的な気持ちが強いし、フィリピン人全般も一般的に日本人が好きだし、受け入れたいという考えを持っている人は多い。戦争や人身売買など、日本が好きなフィリピン人にとって心が痛くなる事件はたまに起きるが、それでも日本を尊敬している人はとても多く、家の娘が日本人系の企業に勤めるというと、それだけで誇らしい気持ちになる一家ばかりだ。あまり日本人からすると理解できないかもしれないが、家単位で活動する保守的なフィリピン人にとって、日本人と仕事をすること自体は憧れのひとつなのである。
ただ、フィリピンで安い語学学習が成立するのには理由があるということを、日本人は理解すべきである。フィリピンを訪れる日本人は、同国の法律を守って、旅程の最後まで無事にいてほしいと願っている。
(文=マリアンレジーナ)
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