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このような思考回路に陥りやすいのは、子どもとの一体感が強く、子どもを自分の分身と考えている親だ。いいかえれば、子どもを自分の所有物とみなしているわけだが、この所有意識は、無理心中を図る親にしばしば認められる。極端な場合、「私物的我が子観」とも呼べるほど所有意識が強くなることもある。
こうした所有意識は、子どもを虐待する親にも認められることが多い。子どもを自分の所有物とみなしているからこそ、「子どもを殴ろうが蹴ろうが、他人にとやかく言われる筋合いはない」「子どもをどうしつけようが、親の勝手」などと自己正当化する。この手の所有意識の強い親を精神科医として長年診てきたので、親の所有意識こそ諸悪の根源だと断言できる。
もちろん、無理心中を図るまで追い詰められた親の苦悩は、わからないではない。ただ、その根底には、「私物的我が子観」とも呼べるほど強い所有意識が潜んでいることを忘れてはならない。
親子心中の悲劇を繰り返さないためには、追い詰めない社会を築いていくことが必要だが、それだけでは十分ではない。それと同時に親が所有意識を捨て、親と子は別人格で、子どもの人生は子どものものと肝に銘じるべきである。
(文=片田珠美/精神科医)
【参考文献】
片田珠美『拡大自殺』(角川選書)2017年
片田珠美『子どもを攻撃せずにはいられない親』(PHP新書) 2019年
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