“こんまり”の愛称で知られる人気片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんが、英語版ECサイトを開設した。ところが、サイトに掲載されている商品に対して「胡散臭い」などと疑問の声が上がっている。ECサイトに日本語版はなく、米国や欧州のファン向けの商品だと思われるが、片づけとはまったく関係のないスピリチュアルな商品のラインナップが物議を醸しているようだ。
サイトでは「アロマ」「バス用品」「本」「クッキング」「インテリア」「卓上」「整理整頓」の各カテゴリーで商品が掲載されている。調理用品では、デザイナーの大治将典氏が手掛けた真鍮(しんちゅう)製の275ドル(約3万円)の調理道具立てのほか、86ドル(約9000円)のキャンドル、96ドル(約1万円)のおたまなどが並ぶ。一方で、少々異質な商品も目立つ。やる気の出るアロマ「モチベーションミスト」は27ドル(2900円)、バランス感覚を回復する「音叉と透明な水晶」は75ドル(8100円)などだ。
「音叉には治癒力がある」
なかでももっとも異質な雰囲気を醸し出している「音叉」の使い方に関して、ホームページ上では次のように解説されている。
「私が仕事として片付けコンサルタントを始めてすぐ、仕事の厳しさに直面しました。そこで、私は音叉を自分の中心に置く方法として使い始めました。音の振動には微妙な治癒力があり、私自身をリセットするのに役立ちます。
音叉は伝統的に楽器をチューニングするために使用されます。音叉が奏でる音は純粋です。(中略)音叉は、私のお気に入りのセルフケアツールの1つです。大勢の人と話す前、新しいスペースを訪れるとき、または空気をきれいにする必要があるときはいつも、使っています」
「効果については否定も肯定もしない」
説明を読んでも片づけとどんな関連があるのかわからない。音叉を使ったセルフケアとはなんなのか。気功の講師をしている中国籍の関係者は次のように語る。
「気功療法などを用いるヒーラーが、心理的なデトックスの一環として音叉を使用しています。チネイザン療法(氣内臓セラピー)などのセラピストも用いています。音叉療法は欧米にも広がっているようで、気功以外の流派や宗教も取り入れています。スピリチャル分野に造詣が深い、こんまりさんも興味があったのではないでしょうか。心理的なプレッシャーを緩和したり、混乱した感情をほぐしたりする効果があるかどうかについては、肯定も否定もしません。私個人の意見ですが、音叉や水晶という物に左右されるわけではなく、施術者や被験者の気の修練の度合いによるところが大きいと思います。