世の中には、「占いは古代から連綿と伝わる統計学です」などと告げられて納得する人や、「あなたの前世は、中世のイタリア貴族で名前はアントニーでした」などとスピリチュアリスト(霊能者)に告げられて、「だから私はパスタが好きなんだ」などと素直に感心する人がいます。
こういう人たちは、無邪気に他人の言うことを信じる「被暗示性」の高い人です。そんな人が失恋したり、仕事で大失敗して落ち込み、自己肯定感を低くした時は注意が必要です。占いやスピリチュアルは、「疑似科学」の衣をまとっています。「現代科学でも証明できない不思議なこと、神秘的なことは、この世にはいくつも存在します」などと堂々と告げて、人々を煙に巻くためです。
憲法22条では、公共の福祉に反しない限り、何人も職業選択の自由を認められていますが、占い師やスピリチュアリストといった職業の人のなかには、「そのご託宣は公共の福祉に反するのではないか」と思えるような人が時々いますから、少しは警戒しておいたほうがよいのです。
人は、何かの拍子にこうした神秘の衣をまとったものに、すがりついてしまうことがあるからです。たまたま不幸や不運が続いたり、人間不信に陥ったりすると、宗教にすがったり、占い師やスピリチュアリストといった赤の他人に頼ったりしがちだからです。
自分に自信が持てなくなった時には、怪しい人たちの格好のカモになりやすいので、けっして近寄らないようにすることが一番の防衛策になります。
「非科学的」な予言は暗示作用にすぎない
占いが当たるなら、投資やギャンブルで大儲けができそうですが、そんな話は聞きません。霊能があって死者と交信できるなら、警察に協力して行方不明者の捜索にでも当たってほしいところですが、日本では、そんな美談も聞きません。
なんの根拠もなく、合理的な証明が一切なくても、ただの思いつきや経験則から導かれた言葉のレトリックで人々の心を翻弄し、ひたすら金儲けに邁進する人がいるので、騙されないようにしていただきたいのです。
バーナム効果
占い師やスピリチュアリストと称する人たちは、目の前のお客の心を読んだように振る舞うことがとても巧みです。実際にはお客の心など読めないのですが、お客に「当たっている。心が読まれている。なぜ自分のことが、こんなにわかるんだろう」と思い込ませるテクニックだけは長けています。そこで今回は、「バーナム効果」と呼ばれる暗示テクニックについて紹介します。