3月23日夜、23歳の日本人男性がイスラム国に参加しようとした容疑でトルコ治安当局により拘束され、翌24日に日本へ強制送還されたことが報じられた。男性は帰国後、和歌山県警から事情聴取を受け、「日本での生活が嫌になった」「ネットで情報を集めていた」などと供述したという。
トルコでは3月19日に最大都市イスタンブールでイスラム国による自爆テロが起こったばかりであり、22日に起こったベルギーの首都ブリュッセル連続テロでも、イスラム国が犯行声明を出したばかりだ。
こうしたなか、なぜ男性はイスラム国に参加しようと考えたのだろうか。男性が拘束された当時の様子について、外務省関係者はこう明かす。
「男性は、3月15日に成田空港から出国してトルコ入りしました。その後、現地住民とスマートフォン(スマホ)の翻訳アプリを使ってコミュニケーションをとっていた際、『イスラム国に関心がある』と志願を匂わせたため、住民が通報し、捜索中のトルコ軍憲兵隊に身柄を拘束されたのです。
男性が拘束されたトルコ南西部のカルカムシュは、イスラム国が支配するシリア領と接しており、イスラム国への志願者が密航するルートとして知られています。こんな危険地帯を訪問する日本人は皆無ですし、明らかに外国人とわかる男性が不審な行動をとっていれば通報・拘束されて当然です。
2015年2月に元自衛官がイラク北部からシリアに入り、反イスラム国の武装組織に志願しようとした事件があったので、第一報を聞いた時は『また元自衛官か』と思いましたが、トルコで報道された写真に写る男性は、戦場で戦う姿が想像されるタイプではありませんでした。男性は尋問に対しても供述を二転三転させ、支離滅裂な答えをしていたため、『普通じゃない』という印象を与えたようです。男性が本当にイスラム国に参加しようとしたのかはわかりませんが、トルコ当局が強制送還を即日決定したことからも、イスラム国とのつながりはないと判断されたのではないでしょうか」
報道では、男性がFacebookを使ってシリア人のイスラム国関係者と連絡を取っていたとも報じられたが、マスコミの「イスラム国に行こうとしたのか」との問いに対しては、「していない」と答えている。
多くの謎
学生時代から男性を知る和歌山県在住の人物は、意外な目的があったのではないかと証言する。