経営陣は第2世代に移行
丸八真綿グループは62年、岡本八二氏と岡本一八氏が静岡県浜松市で丸八織物を設立して布団の製造を始めた、寝具メーカーである。69年、丸八真綿に商号変更。全国に直営の販売店を設け、自社工場で生産する羽毛布団、羊毛敷き布団などの訪問販売のほか、ホテル・旅館向けの外販にも取り組む。布団のクリーニングやレンタルなど寝具関連サービス「おうちdeまるはち」をインターネット上で展開している。
12年に丸八真綿による株式移転の方法で持株会社、丸八HDを設立。営業部門の丸八真綿、製造部門の丸八プロダクトなどグループ会社を統括する体制を整えた。現在は持ち株会社を中心に31の子会社が、布団に関する一貫した業務を展開している。
上場するのは持ち株会社の丸八HD、社長は瀧口陽夫氏だ。丸八グループでは、訪問販売で実績を上げた社員がグループのトップに就くケースが多い。瀧口氏は生え抜きで、09年に丸八真綿の社長となり、12年の持ち株会社の発足と同時にHD社長に就いた。
生え抜き社長とはいえ、丸八HDは創業一族の岡本家の同族企業だ。岡本典之会長は岡本一八取締役相談役の長男で、岡本八大副会長は岡本八二氏の長男だ。
出資比率は一族の資産管理会社の洋大が63.93%、岡本八大氏が5.29%、岡本一八氏が4.56%、静岡銀行が3.14%、ほかに自己株式が13.65%ある。
16年3月期決算の売上高は前期比5%増の220億円、純利益は20%減の10億円を見込み、配当は年30.0円を予定している。
株式の公開価格は1株680円に決定した。だが、業態は地味で、取引所も名証2部と地味なため、初値が大きく上昇することはないだろうと証券関係者はみている。名証はチェックが緩いといわれている取引所だ。上場によって調達した資金は、寝具・リビング事業の生産設備の整備と不動産賃貸事業への投資に充当する。
はたして、株価は「2倍、2倍」といくだろうか。
(文=編集部)
【続報】
4月8日にIPOした丸八HDの初値は757円。全面安商状の中、公開価格680円を11.3%上回り、好スタートを切った。午後には初値に比べて150円高(ストップ高)の907円まで上伸した。寝具業界はライフスタイルの変化とともに縮小している。成長性という観点からは買いづらい銘柄だが、ひとまず順調な滑り出しをみせた。