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そして、欧州では、ユーロ圏の低迷懸念に加えて英国のEU離脱(Brexit)がポンド売り圧力を高めている。テロの発生につながった難民受け入れへの対応策もまとまっていない。そのなか、EUの統合よりも、経済や政治運営上の自由を重視した離脱への意識が高まっている。それは、ユーロの先行きに対する懸念や財政再建のとん挫などのリスクを高める可能性がある。
これらのリスク要因は、経常黒字に支えられた安全通貨としての円の保有動機を高めるだろう。世界的な金融緩和の流れにもかかわらず、各国の景況感が悪化してきたなか、足許の円安は一時的なものにとどまりやすいのではないか。今後も、円高が進めば追加緩和への期待も高まるだろう。しかし、為替相場は米国を中心とする世界経済の動きに大きく影響される。先行きの為替レートの動きは慎重に考えたほうが良いだろう。
(文=真壁昭夫/信州大学経済学部教授)
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