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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

北朝鮮、暴発やクーデターの兆候で中国が軍配置…政府高官の亡命多発、金主席は精神不安定

文=相馬勝/ジャーナリスト
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 このような金氏の発言の裏側には、北朝鮮の最高指導者として、3代続いてきた金王朝による指導体制が自分の代で崩壊してしまうことへの強い危機感がある。北朝鮮の内部情報では、金氏は軍のクーデターや住民の暴動などが発生することを恐れて、強いストレスを感じ、夜も寝ることができず、深酒をしたあとに深夜や早朝にかけて、自ら愛車のベンツを運転し、平壌市内をドライブしているという。

 金氏の父、金正日総書記の料理人として仕えた藤本健二氏は今年4月の平壌滞在中、金正恩氏主催の宴会に出席のため、自分を迎えに来たベンツの運転席をみると、金氏自身がハンドルを握っていたのが目に入り非常に驚いた、とのエピソードを一部メディアに明らかにしている。

 さらに、金氏はドライブの途中で、重要建設プロジェクトの「視察」も行っている。今年7月11日付の党機関紙「労働新聞」によると、金氏は13年9月の早朝に重要建設プロジェクトに指定されていた平壌市内のレジャー施設「紋繍(ムンス)ウォーター・パーク」の建設現場を視察。さらに、ほぼ1カ月後の10月中旬の深夜にも前触れもなく突然、同じ現場を訪れたという。

 同紙は金氏が寝る間も惜しんで、北朝鮮の国家建設の進展に気をかけており、これこそ金氏の「人民を思いやる深い心がけ」であると“美談”として報道しているが、これは金氏のたんなるストレス発散としかいいようがないのである。

 平壌市内では金氏の「夜討ち朝駆け」は有名で、市民の間では「元帥さま(金氏のこと)が深夜から朝早く、ベンツに乗って、こっそり市内を流している」との噂がたっているほどだという。

 また、労働新聞が報じたエピソードの時期は、金氏の最側近だった張成沢・元国防委員会副委員長が処刑された13年12月と近いことから、前出の外交筋は「金氏はこのころから最高指導者として極度のストレスを抱えており、いまだに精神的に不安定な状況にあるようだ。この情報は中国最高指導部にも伝えられており、中国は北朝鮮情勢の急変に備え、国境地帯に常時、多数の中国軍部隊を配置しているほどだ」と明らかにしている。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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