福島香織「核心に迫る」
中国、「民主の村」弾圧で村民と3千人の警察隊が血の抗争…習近平ら中央権力闘争が激化
文=福島香織/ジャーナリスト
そういった習近平派と団派の権力闘争の文脈で考えると、汪洋の遺産とも呼ばれる「烏坎村の草の根自治」を胡春華に弾圧させるやり方は、習近平の胡春華に対する手の込んだ嫌がらせであり、今後、事件がどう転がるかによっては、党中央人事が激変しかねない事件なのだ。
しかしながら、党中央の政争に巻き込まれるかたちで村長が冤罪で実刑を受け、村民たちが一度手にした草の根民主を手放さねばならないというのは、なんと理不尽なことだろう。
人民の暮らしそっちのけで権力闘争に明け暮れるこの体制が変わらないかぎり、中国の安定と発展の時代が巡ってくるとは思えない。
(文=福島香織/ジャーナリスト)