中古や新古書が混入か
さらに調べていくと、意外な事実が次々と判明した。
13ケタと10ケタのISBNの大きな違いは、第一に、アタマから3ケタに「978」がついているかどうか。「978」は「出版物」を意味するもので、省略して10ケタとして取り扱っている可能性もある。
そこで、ISBNの末尾に「X」があるかどうかの調査を行った。ISBNの末尾は、「チェックデジット」と呼ばれる検算数字となっている。特定の計算式によって計算した結果を表しており、07年以降の13ケタとそれ以前の10ケタとでは、末尾の数字も変わってくるのだ。
この検算数字が「10」となる時に表示されるのが「X=テン」だ。だが、07年以降は「X」表記が完全に廃止されたため、末尾に「X」のISBNが付いている本は、06年以前に刊行された書籍だけなのだ。
つまり、新刊として購入する選書リストのなかに、末尾「X」のISBNが付く書籍は、あってはならない。
ところが、調べてみると新刊選書リストのなかに末尾「X」のISBNがあったのだ。そのほとんどは、やはり第8回リスト中に存在していた。
前出の書店関係者によると、「(初版が06年以前でも)07年以降に増刷した本であれば、13ケタに打ち直して納品されているはず」ということで、旧ISBNは06年以前の本であることを証明している。
つまり、この選書リストには、中古または新古書が混ざっている疑いがある。
次に、筆者はいくつかの出版社に、以下の2点について質問をした。
・旧ISBNのまま正規の取次ルートに本が流れることはあるのか
・また、古い本を出荷するときに、新しいISBNに変換して出荷するのか
その結果、旧ISBNの本が流通することは「ごくまれにある」という。また、新ISBNへの変換については「何もせずにそのまま出荷する」と明確に回答する出版社もあった。
「うちの場合、創業当時に有名なエッセイストの本を出しており、20年以上前のその在庫をいまだに出荷することが、ごくまれにですがあります。ISBNは、増刷したタイミングで変更することはありますが、それ以外はカバーも変えずに、そのまま出しています」(某出版社営業担当)
つまり、06年以前に刊行された図書が、古いISBNのまま流通することはあり得る。だが、これはあくまで例外であり、古いISBNのままの本が大量に流通することは、レアケースだ。