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閉会中審査での加計学園疑惑究明は期待薄も…「安倍政権の終局」がついに始まった

文=編集部
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 特区構想なら「無人自動運転バスを特別に許可し、成功したら全国に広げていく」のが代表例だ。規制緩和なら「電力自由化」だろう。参入障壁を下げて各社間の競争を生み、電力料金を下げさせるのが狙いということになる。しかしながら、特区・規制緩和政策で「特別に獣医学部の新設を認めた」として、どんなメリットがあるのか。獣医師を大幅に増やし、それを全国に広めていくことが必要なのか。動物病院間の競争を激化させ、診察料金を引き下げることが国家の懸案事項なのだろうか──当然ながら、答えは「否」だ。 

「むしろ加計学園が獣医学部を新設すると、私学助成金が交付されます。かなりの額ですし、言うまでもなく助成金は税金が原資です。加計学園の獣医学部に国民の税金を使うことが正しいかどうかというのが、この問題が有権者に問うている本質でしょう」(同)

 加計学園の問題を「そもそも贈収賄事件ではなく、決定プロセスも公明正大に行われている。だから政局化するのは正しくない」と擁護する声もある。だが、これも「有権者の本音」を無視した空理空論にすぎない。

「政治の怖いところですが、有権者は『手続きが法的に正しいか否か』などという問題に関心は持ちません。『安倍首相の友人を、特別にひいきした』という疑惑が生じたことそのものを手厳しく批判しているのです」(同)

 安倍首相が思い出すべきだったのは、「李下に冠を正さず」という格言に違いない。

「安倍首相が求められていたのは、官僚に『加計学園の加計孝太郎理事長は私の友人だ。だからこそ獣医学部の新設問題は私に忖度せず、むしろ厳しく審査してほしい』と明言することだったはずです」(同)

支持率低下の深刻度

 自民党といえば「有力政治家が、自分の知り合いを強引に公共事業に参画させる」という場面が、ノンフィクションでもドラマでも、当り前のように描かれてきた。今回の疑惑も、根本は同じだろう。

「確かに加計学園問題を、昔から繰り返されてきた有力政治家による『政治力の行使』と見ることは間違いではありません。しかしながら1点だけ、私には初体験だったことがあります。総理大臣の関与が取り沙汰されたことです。いやしくも一国のトップです。それが『政治屋』のように強引な政治力を行使することは、誰もが謹んできました」(同)

 安倍政権が窮地に立たされているのは事実だ。しかし政権は乗りきれると考えているし、これまでも実際に乗り切ってきた。特定秘密保護法でも、安保法制でも、一時的に支持率は下落しているが、その後は回復している。今回なら、8月実施とも報道されている内閣改造が支持率回復への正念場なのは間違いない。小泉進次郎氏や、橋下徹氏の入閣可能性が取り沙汰されている。だが、仮にサプライズ人事を実現させても、支持率が回復しないシナリオもあり得るという。

「これまで安倍内閣に対する支持率低下は、政策に対する異議申立てでした。そのため、よくも悪くも法案が通ってしまえば、反対を続けても意味がありません。有権者は渋々だとはいえ、納得せざるを得ない。ところが最近の安倍政権に対する不信は、政権の体質、政権の驕りに対する批判なんです。これは政策とは異なって尾を引きます。抜本的に安倍政権が姿勢を変えない限り、不支持者は一定の層として存在し続けるでしょう」(同)

 問題は、不支持者の受け皿だ。都議選では「民進党以外の受け皿」を示した都民ファーストの会が圧勝した。これが有権者自身と、政治家に与えた影響は決して少なくないという。

「安倍政権に対する高い支持率は、『他に選択肢がない』ためだという指摘はなかったわけではありませんが、都議選でその正確性が証明されたというのは大きいでしょう。受け皿さえあれば、相当数の有権者は安倍政権に批判的な投票行動を行うわけです。ならば閉会中審査を経て、内閣改造の支持率への影響が出揃えば、自民党内の“ポスト安倍レース”が激化したり、野党再編が進んだりする可能性があります」(同)

 いずれにしても、安倍政権の屋台骨は健在だとはいえ、あちこちの“軋み”は相当に激しくなってきた。まずは閉会中審査を、安倍政権がやり過ごせるかどうかが最初のハードルらしい。
(文=編集部)

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