渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

中国国有企業、海外企業傘下に収め技術入手か…ハリウッド進出で米国世論操作も


 中国に限らず、国家というのは膨大な資産を持ち、同時に法律や税制などを決定する権利も持っている。そして、国有企業というのは、そうした地位を利用して民間企業よりも有利な立場でビジネスを進めることができる。また、国有企業の技術やノウハウを国が共有し、さらにほかの国有企業と共有することも可能なわけだ。これでは、公正な競争が行われるわけがない。

 近年、特に著しいのは、ハリウッドをはじめとするアメリカの映画産業への中国マネーの進出だ。しかしながら、これも民間企業による買収だったからこそ許されていた経緯がある。国有企業が他国の情報産業を買収して牛耳ることになれば、容易に情報操作やプロパガンダが可能になってしまうからだ。今後は、実際にそうした事態が起きかねない。

 これまで自由主義をうたってきたアメリカだが、ドナルド・トランプ政権は公正な貿易や市場取引を強く打ち出している。もともと、これは中国製品のダンピング(不当廉売)輸出の問題が念頭にあったと思われるが、今後は企業買収についても問題視される可能性があるだろう。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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