消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
日本はともかく、中国や他国が報復措置に出れば貿易戦争がエスカレートする。貿易依存度の高い中国が不利ではあるが、面子を立てるために、中国は米国産の大豆や肉、果実、自動車などに高関税をかけて輸入を抑制する可能性がある。結果的に、米中両国の消費者は高い輸入品を買わされ、需要が減退するなかでインフレが高まり、金融引き締めとなれば景気が圧迫される。米国が中国に生産委託しているiPhoneに輸入関税をかければ、困るのは米国の消費者だ。
世界の貿易&経済がスパイラル的縮小か
秋の中間選挙では与党・共和党の苦戦が予想されるが、トランプ大統領は貿易戦争に勝利することで選挙を有利に展開したいようだ。しかし、関税などによる輸入規制は世界の景気を冷やすばかりか、米国内のコスト・インフレを高め、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを促し、企業や消費者は高いものを買わされ購買力を失うが、それを輸出や生産の拡大ではカバーできない。それだけ景気は悪化し、株価を圧迫することになる。
米国にはノーベル経済学賞を受賞した学者が数多くいながら、この政策をいさめようとはしない。トランプ大統領のような専制君主が世界に多くはびこるなかで貿易戦争を展開すれば、理性よりナショナリズムが前面に出て、世界貿易、世界経済のスパイラル的縮小を引き起こしかねない。
大規模金融緩和で株価が釣り上げられたところだけに、この貿易戦争がどれだけの破壊力を持つかは予断を許さない。この混乱を回避するには、トランプ大統領を羽交い締めにする剛腕政治家を待つしかない。
(文=斎藤満/エコノミスト)
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