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アベノミクス、3大リスク同時発生の可能性…安倍内閣総辞職・米国のイラン攻撃・債券下落

文=斎藤満/エコノミスト
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永田町上空に雷雲発生

 さらに、東京は永田町上空に突然雷雲が発生した。「モリ・カケ」問題から自衛隊の日報隠蔽、セクハラ問題と、一連の不祥事で安倍晋三内閣の支持率が低下し、一部の調査では30%を割り込んでいる。国会は野党の委員会欠席で空転、業を煮やした与党幹部が「解散だ」で脅しをかけるも、自民党長老から強く批判され、解散カードも切りにくくなって安倍政権が窮地に立たされた。

 頼りの外交も、期待した日米首脳会談は日米蜜月を演出できたものの、北朝鮮や通商問題で成果を挙げられず、起死回生とはならなかった。その上に、日本が蚊帳の外に置かれたまま、朝鮮半島は和平に向けて歴史的な展開を見せ始めた。日本が入り込む余地はいよいよなくなり、拉致問題解決への期待も不確定となった。

 当面のカギを握るのは、麻生太郎財務大臣と自民党の二階俊博幹事長だ。財務省批判が強まるなかで、麻生財務大臣ががんばり続けられるか。彼が辞任に追い込まれると安倍首相にとっては大きな打撃となり、自身も辞任に追い込まれる懸念が高まる。

 もうひとりが二階幹事長だ。彼は衆議院解散を否定している。首相自身が「信なくば立たず」と言っているのであれば、信認を失った政権に幹事長が「引導」を渡す可能性がある。

 急遽政局となり、安倍内閣総辞職ともなれば、安倍ディールで株買い、円売りをしてきた投資家は、一旦仕切り直しとなる可能性がある。自民党政権自体が崩れるわけではないが、アベノミクスに乗ってきた投資家には一旦巻き戻しを誘う要因にはなる。

 経済が好調ゆえの「雷雲」も含め、随所に黒い雲が出始めた。落雷に当たってけがをしないよう、心の準備はしておいたほうがよさそうだ。
(文=斎藤満/エコノミスト)

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